ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた 

ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた  - pic by Shigeo Kikuchipic by Shigeo Kikuchi

満員のTOKYO DOME CITY HALLで、ジューダス・プリーストを観た。去る3月にリリースされた通算第18作『ファイアーパワー』は、『ブリティッシュ・スティール』(1980年)や『復讐の叫び』(1982年)といった往年の象徴的作品に通ずる感触と、若々しい突進力を併せ持ったアルバムだが、その最新作の表題曲で幕を開けたこの夜のライブの印象もまたそれに重なるものだった。

去る21日、札幌公演を皮切りに始まった今回のジャパン・ツアーにおいて、当然のごとく注目が集まるのは、パーキンソン病との闘いを強いられているグレン・ティプトンの不在だ。彼とK.K.ダウニングのツイン・ギターをアイデンティティのひとつとしてきた彼らだが、そのK.K.もすでに脱退しており、リッチー・フォークナーが7年前からその後任の座におさまっている。そして今回のワールド・ツアーでは、最新作のプロデューサーのひとりであるアンディ・スニープが彼のギター・パートナーを務めてきた。そこで興味深かったのは、現在67歳のフロントマン、ロブ・ハルフォードらにとっては息子世代ともいえる2人(リッチーは1980年、アンディは1969年生まれ)が繰り出すギター・リフのスピード感だ。往年の看板曲たちが明らかに体感速度を増し、まさしく『ファイアーパワー』でのクラシックでありながら古めかしさを感じさせない「今」の音で聴こえてくる。それが観衆にとって痛快でないはずもない。

ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた  - pic by Shigeo Kikuchipic by Shigeo Kikuchi
ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた  - pic by Shigeo Kikuchipic by Shigeo Kikuchi

もちろん、ロブの歌唱の凄まじさについては言うまでもない。若々しい躍動感に満ちたバンド・サウンドの上に仁王立ちするかのような存在感と、音の壁を切り裂くようなハイトーン、そして迫力満点の中音域。年齢のわりにすごいという次元ではなく、そのボーカル・パフォーマンスには「これはもう誰にも太刀打ちできない」と思わせる凄みがあり、一時期の彼よりもパワーと切れ味が感じられた。

最新作からの“Lightning Strike”や“No Surrender”、“Rising From Ruins”といった楽曲をバランス良く配しつつ、鉄板曲の数々を惜しみなく披露しながらのライブは、1時間45分ほどに及んだ。決して長いライブとはいえないが、その密度濃いひとときはオーディエンスに確実に満足をもたらしたはずだ。そして特筆すべきは、有無を言わさぬ超絶メタル曲の代名詞のひとつというべき“Painkiller”でひとたび着地点に達したのち、ステージにグレン・ティプトンが登場したこと。今回のワールド・ツアーにおいて、特に体調の良い日にだけ部分的に演奏に参加してきた彼は、これまでの北海道、岐阜、岡山、大阪での公演には登場していなかった。が、日本公演の最終公演地である東京には駆けつけることができたのだ。そのグレンを含むトリプル・ギター編成で披露されたアンコールの3曲に歌声を重ねながら、感涙を堪えきれなかった観客も少なくないことだろう。僕自身も、そのひとりである。

ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた  - pic by Shigeo Kikuchipic by Shigeo Kikuchi
ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた  - pic by Shigeo Kikuchipic by Shigeo Kikuchi

最後の最後、ステージ背景のスクリーンには「THE PRIEST WILL BE BACK」という再会を約束するメッセージが浮かんでいた。そしてメンバーたちがステージを去ると、場内にはクイーンの“We Are The Champions”が流れ始めた。この曲の《And we’ll keep on fighting till the end》という歌詞そのままに、彼らはこれからも闘い続けていく。もちろんそれは、闘病を続けているグレンについても同じことだ。来年には結成50周年を迎えることになるこのバンドには、まだまだヘヴィ・メタルを牽引し続け、未来へと導いてもらわねばならない。

このジャパン・ツアーは11月29日、武蔵野の森総合スポーツプラザ・メインアリーナにて幕を閉じることになる。耳慣れない会場名だが、それを理由に足を運ばないという選択は許されないだろう。実際、ふたたびグレンがそのステージに登場するという確約はない。しかし、2018年のこの日にしか観られないものを堪能できることになるはずだ。(増田勇一)

ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた  - pic by Shigeo Kikuchipic by Shigeo Kikuchi
ジューダス・プリースト、東京公演ではなんとグレンも登場! 満員のTOKYO DOME CITY HALLがさらなる感動に包まれた  - pic by Shigeo Kikuchipic by Shigeo Kikuchi

<SET LIST>
Firepower
Running Wild
Grinder
Sinner
The Ripper
Lightning Strike
Desert Plains
No Surrender
Turbo Lover
The Green Manalishi(With The Two-Pronged Crown)
Night Comes Down
Guardians(SE)~Rising From Ruins
Freewheel Burning
You’ve Got Another Thing Coming
Hell Bent For Leather
Painkiller
[encore]
Metal Gods
Breaking The Law
Living After Midnight
rockinon.com洋楽ブログの最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする