ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリヴァーに訊いた! 『アモ』の曲作りの秘密、そして「最愛の国」への想い

ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリヴァーに訊いた! 『アモ』の曲作りの秘密、そして「最愛の国」への想い

ブリング・ミー・ザ・ホライズンの勢いがすごい。先頃リリースされた3年ぶりの新作『アモ』は、すぐさま彼らにとって初のUKチャート首位獲得作となり、ここ日本でも従来を遥かに上回る快調な滑り出しをみせている。“愛”をテーマとするこの作品の制作背景などについては、フロントマンでありバンドの中枢であるオリヴァー・サイクスが本誌3月号掲載のインタビューでもたっぷりと語っているが、ここでは同記事には収まりきらなかった彼の発言をいくつか紹介しておきたい。

ご存知の読者もいるかもしれないが、このバンドの曲作りはなかなか特殊だ。ギターなどの演奏経験がないオリヴァーは、リフなどのアイデアが浮かぶとそれを口ずさみ、それをメンバーたちが形にしていくのだ。過去のインタビューでも彼自身がそう語っていたが、そうした作曲のあり方は今も変わっていないのだという。

基本的には変わらないよ。俺が口ずさんだメロディを、ギターやシンセのフレーズにしていくというやり方がメインで、サンプリングを使うこともある。サウンド自体は、どんどん変わってきてるけどね。以前はもっといろんな要素を詰め込もうとしていたけど、今はできるだけクリアに聴けるサウンドを心がけている。

ただ、以前はバンドが集まって生で録るというのが普通だったけど、今は全部コンピュータに入れている。そっちのほうが圧倒的に作業も速いからね。コンピュータ上でデモを聴いてあれこれ比較検討できるから、曲をすべて仕上げたうえでスタジオに入ることができるし、何百回も聴けるぶん「これはいい曲だ!」って自信を持ってスタジオワークに臨めるんだよ。



いかなるジャンル感の曲であろうとメロディが印象的なのは、こうした作曲スタイルのあり方とも無関係ではないのかもしれない。また、今作のレコーディングはロサンゼルスで行なわれているが、そのことについて彼は次のように振り返っている。

どうしてもロサンゼルスじゃないと、みたいなこだわりが特にあったわけじゃないんだ。ただ、曲を作っている間はずっと、地元のシェフィールドにある倉庫みたいな建物にこもりっきりでね。そういう状態が8~9ヵ月くらい続いてたのかな。毎日メンバー全員がそこに通い詰めてた。だからレコーディングくらいは、その場所から離れたくてしょうがなくなったんだ。

そんな時に、仲のいいグッド・シャーロットが、「マネージメント会社がロサンゼルスに機材とか全部揃ったスタジオを持ってるから、良かったら使ってくれよ」と言ってくれたので、俺たちもこれはいい話だと思って、誘いに乗ったんだ。ロサンゼルスなら知り合いも多いし、レコーディング中もバンド以外の人と話したりとか、スタジオに遊びに来てもらったりとかできるしね。

そんな感じで、とにかく地元のイングランドを離れて、少し今までと違う視点を持てたら、という気持ちがいちばん大きかったな。


そうして完成された『アモ』を携えながらすでにツアーの日常のなかにある現在の彼ら。ツアー開始前の時点では、それに向けての意気込みを次のように語っている。

とにかく『アモ』の曲を演奏するのが楽しみだね。あと、常にいろんなジャンルのバンドと同じステージに立ちたいと思っている自分たちとしては、今まで出たことがないフェスにもどんどん出ていくつもりだ。これからもずっと、自分たちの限界に挑戦しながら、いろんなジャンルの間に橋を架けていきたい。

ロックだって、もっと他のタイプの音楽と繋がっていくべきだと俺は思うんだ。ヒップホップでも何でもね。音楽を好きな人の間で争いが起きるのは嫌だな。「あいつは信用できない」とか「俺たちの文化と違う」とか言っていがみ合うのは、俺に言わせれば本当にクソくだらないことだ。なんでもジャンルにとらわれずに聴いて、いろんな音楽を吸収すればいい。そう思うんだ。



この夏、「SUMMER SONIC 2019」への出演も決まっている彼ら。前回、日本公演がキャンセルになったという経緯もあるだけに、ファンはこの朗報に歓喜したことだろう。もちろんこれは、オリヴァー自身にとっても喜ぶべきニュースだった。

前回のことは俺にとってもすごく残念だった。日本は世界でいちばん好きな国だからね。俺もバンドのメンバーもみんな日本が好きで、俺はプライベートで日本を旅行したこともあるくらいだし。できるだけ早い時期に行きたいと思ってる。フェスか単独ツアーになるかはわからないけれど、今年中には、まず間違いなく行けると思う。それまで楽しみに待っていて欲しいね。


これは今回のサマソニ出演が確定する直前の時点での、彼の発言である。この夏の再会までに『アモ』を徹底的に噛み砕きつつ、このバンドがさらに大きくなっていくさまから目を離さずにおきたいところだ。(増田勇一)

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