ビッグ・イヤー間違いなし! 2020年、期待の新作&アーティストを総ざらい――今年注目すべきバンドはここでチェック!

2019年の傑作の興奮冷めやらぬ中、早くも新作に邁進中のあのアーティスト

なかなかアルバムを出さないアーティストもいれば、息つく間もなく新しいアルバムを仕上げてくるアーティストもいる。アルバムの予定調和的なリリース・サイクルが瓦解し、アーティストの自由裁量が広がったのがテン年代だったが、2020年代もその傾向は変わらずだ。例えば2019年に傑作『ノーマン・ファッキング・ロックウェル!』をリリースしたばかりのラナ・デル・レイは、新作『White Hot Forever』(そう、タイトルまでもう決まっている)を2020年にリリースすると公言している。昨年9月にはアリアナ・グランデのシングル“Don’t Call Me Angel”にマイリー・サイラスと共に参加したり、近年そのワーカホリックぶりが際立っている彼女だが、歌いたいこと、言いたいことが溢れ出て止まらないという表現者としての幸福な時代に突入しているということなのかもしれない。


コールドプレイもまた、2019年11月の『エヴリデイ・ライフ』に続くニュー・アルバムの早々のリリースが噂されているバンドだ。ダブル・アルバムの壮大なコンセプト作だった『エヴリデイ・ライフ』だけに、来る新作はその真逆をいくポップ作になる予感もある。何しろ彼らの場合はわずか1年のインターバルで『ゴースト・ストーリーズ』と対を成す『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』をリリースした前例があるだけに、可能性が高い。


ウルフ・アリス、シェイムに続け! 2020年もロンドンに注目

テン年代後半はロイル・カーナーやトム・ミッシュがネオ・ソウル・ムーブメントに火をつけ、グライムの星、ストームジーが全英1位に立ち、そしてウルフ・アリスシェイムらギター・バンド勢まで大健闘と、久しぶりにロンドンの音楽シーンが注目を集めた時期だったわけだが、その勢いは2020年も継続中だ。シェイムやゴート・ガールを生んだサウス・ロンドンのネオ・ロンドン・パンク・シーンからは真打と呼ぶべきHMLTDがついにデビュー・アルバム『West of Eden』をリリース(2月7日)! ドゥームでフリーキーな彼らの全貌が明らかになるのも目前だ。ウルフ・アリスにハマったあなたに強くレコメンしたいノース・ロンドンのクール&エッジーなガールズ・パンク、ソーリーもこの春にいよいよデビュー・アルバムをリリースする。あ、ザ・ビッグ・ムーンの待望のセカンド・アルバム『Walking Like We Do』も1月10日に発売です!


また、既に界隈のグルの風格すら漂わせているキング・クルールもニュー・アルバムが噂されているし、ボンベイ・バイシクル・クラブの帰還もUKインディ・ラバーの皆さんと喜びを分かち合いたいニュース! 1月17日リリースの『Everything Else Has Gone Wrong』、お忘れなく。


そして、最後はもちろんあのバンド……


あのバンドと言えばもちろんマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。覚えている方も多いと思うが、ケヴィン・シールズは2019年にマイブラのアルバムを「2枚」リリースすると語っていた。そしてもちろん、1枚もリリースされなかった。大丈夫、想定内だ。ただ、22年の歳月を要した『m b v』ほど今回は時間がかからないんじゃないかと楽観視できる理由は、彼らが確かに新曲を完成させていること(2018年のサマソニで聴いた)、そしてブライアン・イーノとケヴィンのコラボでも聴覚負荷が凄まじい金属質のドローンが健在だったことなどが挙げられる。『m b v』からまだ7年しか経っていない。気長に待ちましょう。


最後の最後に付け加えるなら、昨年驚きの再結成を果たしたマイ・ケミカル・ロマンスレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンにも、この2020年に新録、新音源で新たな足跡を残して欲しいところ。なにはともあれ、2020年も皆さんが1曲でも多くの素晴らしい音楽に出会えますように!(粉川しの)
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