至高のロマンチシズム

BUCK-TICK『或いはアナーキー』
2014年06月04日発売
ALBUM
BUCK-TICK 或いはアナーキー
1年9ヶ月ぶり、18枚目のアルバム。デビューから27年の間、これだけの数の作品と楽曲を恒常的に発表してきた中で、揺るがない独自性を持続していることと、まったく尽きない才能に改めて感服する。冒頭の“DADA DISCO -GJTHBKHTD-”に出てくる《アイワナビーアナーキー》《ノーフューチャー》といった歌詞や、続く“宇宙サーカス”のギターフレーズに表されたパンク的要素もひとつの驚きだった。そして、“無題”と名づけられた曲では、デジタルサウンドと歪んだギターが融合する不穏な音空間に、《I’m a fool/暗闇の果てへ 愚者はゆく》と歌う櫻井敦司の力強くもエロティックな声が絡みつき、現実とも夢とも区別のつかないような、ファンタジックな異世界へ意識を持って行かれてしまう。先のシングル『形而上 流星』に入ってもいる“メランコリア”で取り入れられていたEDM的アプローチは、この曲でも、耽美な世界にちりばめられた狂気や人間の暗い本能を、一層、異質なものに染め上げる役割を果たしていた。BUCK-TICKが紡ぐ世界は、いつも美しくて狂おしい。(石井彩子)
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