今こそ紐解くべき『ボヘラプ』後の物語

クイーン『クイーン ヒストリー2 1980‒1991』
発売中
DVD
クイーン クイーン ヒストリー2 1980‒1991

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の公開に合わせて日本盤がリリースされた、クイーンのドキュメンタリー・シリーズの第2弾。オリジナルは2006年にイギリスで制作されたものなので、『ボヘミアン・ラプソディ』前後のクイーンの世界的リバイバルとは無関係で、極めて客観的かつ冷静なトーンで1980年からフレディが亡くなる1991年までの11年間の彼らを追った作品となっている。ここでしか観ることができないライブ映像やバンドのオフ映像は殆どなく、ミュージック・ビデオを初めとする既発映像が主体の本作は、あくまでも音楽評論家たちが改めて語るクイーンの80年代のレビュー作品であり、コア・ファンからすると正直今更感は拭えないかもしれない。

でも、『ボヘミアン・ラプソディ』では詳細が省かれていた80年代クイーンの音楽的な試行錯誤や、映画では描かれなかった85年のライヴ・エイド以降の彼らの再びの充実期、そして死の直前までクリエイティブであり続けたフレディの生き様が、彼らを知る評論家たちの証言で蘇る本作は、映画をきっかけとしてクイーンを好きになった若い世代にとって有意義であるのは間違いない。

また、フレディと個人的にも親交があった著名な音楽評論家、ポール・ガンバッチーニの回想には、時折ホロリとくるものがある。ディスコやファンクに傾倒し、迷走し、そこから華麗な復活を遂げた80年代のクイーンの劇的な歩みは今こそ再評価されるべきだし、フレディのみならず、ブライアン、ロジャー、ジョンのそれぞれの貢献がいかにその復活に寄与したのかも誠実に語られている。また、80年代に彼らがアメリカで苦戦したのは、レーガン政権下で保守化が進んだ当時のアメリカの状況が関係していたという話も、改めて面白い。 (粉川しの)



詳細はポニーキャニオンの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

クイーン クイーン ヒストリー2 1980‒1991 - 『rockin'on』2019年4月号『rockin'on』2019年4月号
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