美しいたてがみと角を持つものへ

米津玄師『馬と鹿』
2019年09月11日発売
SINGLE
米津玄師 馬と鹿
TVドラマ『ノーサイド・ゲーム』の第5話放送後、8月12日にデジタル配信がスタートした主題歌“馬と鹿”。本稿執筆時点では、iTunesのデイリーチャートでもトップをひた走り続けているわけだが、9月11日にはユニークなパッケージも用意されたCDが待望のリリースとなる。カップリング曲には“海の幽霊”と、もうひとつの新曲“でしょましょ”を収録。『ノーサイド・ゲーム』の物語が進むほどに、“馬と鹿”の詩的でミステリアスな歌詞がその意味を明らかにしてゆくさまは実におもしろい。時にコミカルでさえあるドラマ本編だが、主題歌はこの重厚でエモーショナルな楽曲でなければならないのである。サラリーマンの出世競争。実業団スポーツビジネスの不安定な在り方。現実にもしばしば話題になる、競技連盟の閉鎖的な構造。そこには、利益や権力を巡る泥沼の世界がある。組織の中で排斥され、追い詰められた馬と鹿は、傷だらけになりながらも手を取り合って生きる道を探るだろう。彼らは愚か者だろうか。“馬と鹿”の真意は恐らく、手に汗握るドラマのクライマックスで明らかになるはずだ。(小池宏和)
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