モダンなコンセプト・アルバム

ディジー・ミズ・リジー『オルター・エコー』
発売中
ALBUM
ディジー・ミズ・リジー オルター・エコー

2016年に20年ぶりのオリジナル新作をリリースしたディジー・ミズ・リジーの復活第2弾『オルター・エコー』は、今の時代に挑戦的な内容となっている。全10曲の収録時間は約46分。後半を占めるのは5曲23分の組曲“アメリア”であり、前半もファースト・シングルで5曲目の“カリフォルニア・レイン”以外は、切れ目なく続く。しかもアルバムの最初と最後にインストゥルメンタルが配置され、全体が円環となるような構成だ。そう、『オルター・エコー』は、アナログ・レコードが当たり前だった時代のコンセプト・アルバムの方法論を踏襲した作品なのである。

アナログLPよりCDのほうがより長く収録可能だし、ネット配信ならば時間の制限を気にする必要もない。しかし、CDや配信は、曲単位でバラして聴かれるのが前提になっている。それに対し彼らは、前半後半各23分のまとまった流れを作り、リスナーに一つの世界観を体験してもらいたい。そんな古風な欲望を抱いたわけだ。

1970年代のプログレッシブ・ロックか?とツッコミが入るところだろう。だが、バンドの中心であるティム・クリステンセンは近年、MONO、ペリカンといったインスト・バンドを聴きこんでいたというし、新作にはポスト・ロック、ポスト・メタルの影響もうかがえる。そのためか、ディジー・ミズ・リジーらしいキャッチーなメロディ、エモーショナルなボーカルを軸にしつつ、プログレ的な装飾の多いサウンドにはむかっていない。もっとソリッドな、すっきりした構築美でまとめている。現代にふさわしいコンセプト・アルバムの形を模索した結果だろう。ただの懐古趣味ではないのだ。なかでも、やはり“アメリア”の展開に聴きごたえがある。 (遠藤利明)



詳細はSony Music Entertainment (Japan)の公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。
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ディジー・ミズ・リジー オルター・エコー - 『rockin'on』2020年4月号『rockin'on』2020年4月号
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