切なくも豊かな「最先端」の風景

ヨルシカ『花に亡霊』
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ヨルシカ 花に亡霊
3月配信リリースの“夜行”と今回の“花に亡霊”がアニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』の挿入歌&主題歌、さらに新曲“春泥棒”がCM曲としてオンエア中……といった形で、いよいよその真価を時代の表舞台で放ちつつあるヨルシカ。エイミーとエルマの物語を『だから僕は音楽を辞めた』『エルマ』のアルバム2作品かけて描ききった後に広がるヨルシカの世界は、瞬間のセンチメントも狂おしいほどの情熱も、音色ひとつひとつの豊かさと共鳴させるかのような包容力を備えているし、その「今」のモードはこの“花に亡霊”にも確かに結実している。そして、“夜行”“花に亡霊”“春泥棒”のみならず、『キングダム ハーツ』などを手掛けたゲーム音楽作曲家・下村陽子とsuisがコラボした“#時をめくる指”などにも顕著な、「シンガー・suis」の驚くほど表情豊かな進化の加速度が、n-bunaのソングライティングによりいっそう高精細な色彩感を与えている――というヨルシカの現在地が、“花に亡霊”からも明快に浮かび上がってくる。2020年のシーン最先端を担うふたりの存在感を如実に物語る1曲。(高橋智樹)
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