音楽的な広さと精神的な強さ
ROTTENGRAFFTY『Goodbye to Romance』
発売中
MINI ALBUM
ROTTENGRAFFTYの長き歴史の中で、初めてのアコースティック作品となる4thミニアルバム。表題曲である新曲“Goodbye to Romance”では、ストリングスやピアノを重ね合わせた音源ならではの構築美で、バンドの新たな一面とアコースティックの新たな概念を提示している。そこからは、お馴染みの楽曲をリアレンジ。一転して抜きの美学が光る、軽妙で小粋な“相殺微量サイレンス”。アコースティックでもパーティーできそうな、古き良きアメリカンな匂いの“アンスキニー・バップ”。シンプルな音像で奥行きある世界観を表現した“Walk”。柔らかなストリングスで、切なくも優しい聴き心地となった“「70cm四方の窓辺」〜君のいない空〜”。最後は新曲“It’s Alright (instrumental)”で、インストながら歌心たっぷりに締め括っている。音楽的には作曲の要であるKAZUOMIをはじめとして、幅広いジャンルに影響を受けてきたバンドであることが、今作を聴くとわかる。その反面、精神的には一本気なところ、何があっても挑戦をやめない姿勢も表れている。ある意味、両面でバンドの可能性を感じさせる一枚だ。(高橋美穂)
『ROCKIN'ON JAPAN』8月号より
2021.07.13 08:00