衝動とセンチメントが躍る場所

ヒトリエ『風、花』
発売中
SINGLE
ヒトリエ 風、花
1月配信の“ステレオジュブナイル”以来のシングル曲“風、花”は、ゆーまお作曲によるTVアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』エンディングテーマ曲。「キック4つ打ち&ハイハット裏拍」というダンスビートのフォーマットを踏襲した、ポップかつ軽快なダンスナンバー……としての装いとは裏腹に、ビートやフレージングの随所にシノダ/イガラシ/ゆーまおの卓越したアンサンブルの奮い立つ野性が息づいているし、瑞々しい楽曲とサウンドはまばゆいほどの躍動感に満ちて響く。そして、《透き通るよな思いだけが明日になれたらいいね》の冒頭のフレーズが、時とともに形を変えながら、儚い物語性を浮かび上がらせるシノダの詞世界も、狂おしいほどのセンチメントを胸中に立ち昇らせる。衝動と解放のロックンロール“ステレオジュブナイル”の疾走感とはまったく異なる角度から、ヒトリエの「今」を鮮やかに提示した楽曲だ。CD盤のカップリング収録曲“undo”の、タイト&ハイパーなリズム/サウンドの硬質感に滲む衝動/アンニュイな歌の包容力が織り成すスリリングなバランス感も必聴。(高橋智樹)

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