本誌1月号の表紙巻頭インタビューを通して伝わってきたのは、「Adoになる」という自己実現のために青春を過ごし、二十歳を迎えて新たな覚悟を胸に抱きながら邁進する、ひとりの若者のリアルな生活感だった。特異な存在感を振り撒きながら一躍スターの座へと駆け上がっていったAdoだが、だからこそ「Adoであること」を達成し続ける地道な努力・研鑽は見落とされがちだ。その意味で、最新デジタルシングル曲として届けられた“アタシは問題作”は、AdoがAdoであることを引き受ける最新の証明と言えるだろう。ボカロや歌い手のインターネット音楽シーンとメインストリームのポップミュージックを繋ぐ「歌声」の巨大な橋として、本作は新たにベテランボカロP・ピノキオピーの楽曲提供を受けているのだが、《ちょ 待ってよ》《過大評価です》《胸焼けしてる》と世間の評価に対峙しながらも、コミカルにしてアクの強いピノキオピー流ベースミュージックさえ一飲みにしてしまう圧巻の節回しを繰り広げている。提供される楽曲と都度全身全霊をもって向き合うことで、Ado像はアップデートされてゆくのである。(小池宏和)
(『ROCKIN'ON JAPAN』4月号より)
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全身全霊を傾けるAdoのリアル
Ado『アタシは問題作』
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