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タイトルからしていい。bokula.の新EP『Phantom youth』とは、えい曰く「幻の青春という意味の造語」だそう。言われてみれば、青春なんていつ始まりいつ終わったのか定かじゃないし、特に自覚的でもなかったけど、間違いなく当事者だったはずで、ひょっとしたら今も継続中なのかも? そんな時代の情景と心情を、発表済みの“アオトハル”“群青謳歌”を含む、歯切れよく瑞々しい5つのギターロックで描き出していく。“コイニオチテ”の、《薄い言葉だけの失恋ソング》のはずがやけに耳に沁みてしまったり、《悲しそうな歌を朝まで聴いて》しまうなど、やや斜に構えた表現で別れの感傷にリアリティを持たせるあたりは実に巧み。別の意味でやけにリアルな《ゲームに月2万は課金したい》という一節が挿し込まれる、“こんな僕ですが、何卒”は、鋭いギターリフから雪崩を打って走り出す8ビートとクラップ必至な4つ打ちで間断なく攻め立てる、どう考えてもライブで輝く曲。彼らの勢いは幻では終わらなさそうだ。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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