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型破りでありクリエイティブ。彼らは1997年の結成以降、自身の美学は崩さず、だがジャンルやシーンの枠にとどまらず、知的好奇心とアイデアに富んだ企画力、大胆な行動力で音楽やロックを追求し続けてきた。その一貫したスタンスの軌跡がアルバムへと昇華されたのが今作だ。過去にリリースされたオリジナルアルバム8作品を再現する同名のライブツアーから派生した、12曲入りフルアルバム。過去曲の再録はライブで演奏し続けてきた今の彼らだから実現可能な威厳のあるサウンドスケープが心地よく、過去作品の世界観を踏襲して制作された楽曲は、過去の彼らと現在の彼らの知恵とセンスが混ざり合うことで解像度の高い音色と筆致が楽しめる。中でも胸を打つのは、今作のために制作されたタイトルトラック。彼らの現在地と25年間守ってきたものがストレートに綴られた歌詞、夜空を赤く滲ませる朝焼けのような切なくも力強い演奏、晴れやかなシンガロング、どこを切り取っても健やかで美しい。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年2月号より抜粋)
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