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テクニカルかつエネルギッシュなロックチューンとなった“ライラック”から、約1ヶ月というショートスパンで届けられた新曲。というか、昨年の傑作アルバム『ANTENNA』以降もこうしてガンガン素晴らしい曲を発表し続けているわけで、ミセスの天井知らずな創造性はどうなっているんだと舌を巻かずにはいられない。力強い冒険心にリスナーを巻き込んでみせた“ライラック”とはまた異なり、6月劇場公開予定の映画『ディア・ファミリー』主題歌として書き下ろされた新曲“Dear”は、優しく寄り添いながら鼓舞するシンフォニックな曲調が次第に熱いコーラスワークを絡めながらエモーショナルに増幅し、いつしか逃れ難い興奮を掻き立てられてしまう。奇跡的な実話を基にした映画脚本と同様に、確かな体温を伴った歌と曲調は、ダイナミックな展開を備えながらも大仰な響きになってしまうことを決して許さない。今のミセスの表現力があればこそ正しく結実した、見事なテーマソングと言えるだろう。ぜひ劇場でも確かめてほしい。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)
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