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映画『ミーツ・ザ・ワールド』(監督:松居大悟、原作:金原ひとみ)の主題歌として書き下ろされた新曲で、映画公開に先駆けて発表されたMVにおいても松居監督やメインキャストのひとりである南琴奈(鹿野ライ役)ら映画製作チームが大活躍している。ミドルテンポのグッドメロディを湛えた、どこか懐かしさすら感じる丸裸のクリープハイプ楽曲になっているのだが、ヴァースの主旋律を尾崎世界観(Vo・G)と長谷川カオナシ(B)がスイッチしながらハーモニーコーラスに行き着く。歌詞と照らし合わせながら聴くとこれが実に巧妙かつ美しい仕掛けになっていて、つまり尾崎と長谷川というふたりの人格がそれぞれに「自分のことが分からなくて、自分のことが嫌い」というテーマを持ち寄りながらバンドの1曲を完成させているのである。誰もが厄介ごとを抱え、持ち寄ることでこの世界は成り立っているということ。がっつりコラボした映画とこの見事な楽曲デザインがどのように響き合うか、ぜひ劇場で確かめてみてほしい。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年12月号より)
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