ゲット・ザ・バランス・ライト?

ブラー『ミッドライフ:ビギナーズ・ガイド・トゥ・ブラー』
2009年07月15日発売
ALBUM
ブラー ミッドライフ:ビギナーズ・ガイド・トゥ・ブラー
00年に発売されたCD1枚もののベストは、まずジャケットが気に入らなかったし、自分が最も愛する『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』から“フォー・トゥモロウ”しか収録されていないという時点で聴く気を失った。で、「これはきっと、セカンドだけはアルバム単位で聴かねばならず、他の作品はベストで済ませても構わないってことだぜ」などと憤懣をブチまけたりもした。

ただ個人的な印象として、ブラーというバンドは、ファーストでは未だ自己を確立し切れておらず、商業的に大成功した3〜4作目はグレアムがないがしろにされ気味で、その後は反動が出すぎたり、逆に最後は脱退してしまったりと、いつもどこか偏ったアルバムを作ってしまうところがあると感じていた。こうして、しばし時間的な距離を置いて見てみても、彼らはそのスタイリッシュなイメージと裏腹に、常に「その場の勢いで一点突破」的ながむしゃらな姿勢で自らの音楽表現に取り組んできたのだと改めて思う。

ともあれ、メンバー自身の選曲によって今回2枚組で編集し直された新装ベスト盤には、当然セカンドの楽曲も追加され(しかも“アドバート”が選ばれ“ポップ・シーン”に繋げられている!)ようやく溜飲が下がった思いだ。あと、日本盤には“テンダー”のコーネリアス・ミックスが追加されてるのも、こちらのバージョンが大好きな者としては嬉しい。このタイミングで実現したリユニオンで、いよいよブラーは、過去の自分達の全キャリアを止揚し、大きなスケールでバランスをとろうとしているのかもしれない――そんなふうに考えながら聴いた。(鈴木喜之)
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