すごく温かくて希望を感じる曲だ。約1年半ぶりの新曲“コオロギのバイオリン”は、結成から12年の間に生まれた123曲を収めた初の歌詞集『生と死と詞』に収録された8分超の大作。歌詞集封入CDということで、先に松田(Dr)が歌詞を書き、その世界観に合わせてメンバーがメロディを持ち寄ったという。そのため朗読のように歌う部分があれば、感情を爆発させる部分もあり、同じ曲の中で異なるメロディが歌詞を媒介にして繋がる。そして真理を見つけたような、神々しい光に満ちるラストは、もう圧巻だ。今まで彼らは、人間の汚い部分を、なりふり構わず、汗も唾も拭わず、のた打ち回り曝け出してきた。でもこの曲はその先に光を描く。《続いてくこの無情さに/どうか負けないで歌ってくれ/ひたすらに小さな羽根を/ずっとふるわせて奏でてくれ》、《いつかは僕らは灰になる》《その前に少しだけ/少しだけこの命を/感じていたい》。必死に羽ばたく、僅かな羽音に命を感じる。切迫感から感じる閉じた「生」ではなく、光に溢れる開かれた「生」を歌う曲。新境地のバックホーン、断固支持です。(山本恵子)