肌で感じるグッドミュージック

School Food Punishment『Prog-Roid』
2011年07月13日発売
ALBUM
School Food Punishment Prog-Roid
彼らの音楽はメロディやリズムといったカッチリした形を持った要素だけでなく、残響や揺らぎといった曖昧模糊としたパーツが醸し出す気配、肌触りによってもリスナーの心を豊かに刺激する。垢抜けない表現だが……「超生々しい3D映画みたいな感じ」と表現すると、かなりしっくりくる。心情、心象風景、情景など、曲の世界観に渦巻いている多彩な要素が、抜群の発色と質感で届いてくる印象がするからだ。視覚的なリアリティだけでなく、温度、湿度、あるいは匂いまでもが鮮やかに伝わってくるような感覚を味わうことすらある。天気、太陽光、季節感についての描写が様々な歌詞の中で出てくるのは、このサウンドによるのかもしれない。今作の曲から挙げるならば、“ウツロウ、サンガツ”“ハレーション”“光”は、まさしくそういう作風の極みだ。そして、この風味を通して映し出される生活感や恋模様は、感情移入を強力に誘う身近な雰囲気を帯びている。さり気ないようでいながら抜群に洗練されていて、五感の全てを刺激する雄弁な音を奏でるSchool Food Punishment。聴くと贅沢な喜びで一杯になる。(田中大)
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