観た人全員がぶっ飛ばされるこの作品。この号の特集でもみっちりと解説しているように、それはひとえにツェッペリンはもとよりジミー・ペイジが解散から27年経っても化け物だったということに尽きるわけだが、まずはその〝奇跡〟をカメラに収め、彼らのレガシーとして永遠に残るだろう〝作品〟に仕上げた監督のディック・カルサーズに拍手。4人の演奏以外を一切排除し、ウィンクや相槌などメンバーたちの絶妙な表情をも捉えた映像を観たとき、ツェッペリンに対する深遠なる愛と理解を感じたが、『レッド・ツェッペリンDVD』も手掛けていることから、ジミー・ペイジの絶対的な信頼も得ているんだろう。オアシスの決定的ライヴ映像『ゼア・アンド・ゼン』も手掛けていたりする。
そんな監督が捉えた再結成ツェッペリンだが、ボンゾがいないとはいえ、これは紛れもなくあのレッド・ツェッペリンである。ここに来てあえて初めて〝フォー・ユア・ライフ〟を演奏したことがその筆頭だが、ここにはノスタルジーの欠片もない。この手の〝再結成〟にありがちな、〝あの頃は良かったよな、でも今も気持ちいいな〟的な余裕はまったくなく、メンバーたちがレッド・ツェッペリンを現在に更新させている必死な姿だけが映し出されている。〝カシミール〟なんかその真髄。そして、それを実現できているという実感があるからジミー・ペイジは終始ニコニコしているんだろう。ここにはあのレッド・ツェッペリンがいる。たとえその場にいなくても、これまでは歴史上の伝説だった、あのレッド・ツェッペリンと、時代を共有できただけで嬉しすぎる。(内田亮)