MAN WITH A MISSION、時代へのメッセージを込めたニューアルバムを生んだジャン・ケン・ジョニーの思いとは? 最新インタビュー

MAN WITH A MISSION、時代へのメッセージを込めたニューアルバムを生んだジャン・ケン・ジョニーの思いとは? 最新インタビュー

(カミカゼモ)自分ガ育ッテキタ畑ヲ出シテイクベキトイウカ、全然出シテモ大丈夫ダナッテイウ自信ハ持ッテキテイルノカナ

――今作には、ロックの本質論に立ち返るんだっていう視点が、ジャン・ケンさんの曲にもカミカゼさんの曲にもある気がするんですが。

「でも楽曲の制作の時にそういう話はあんまりしないんですよね。自分がこういうメッセージを打ちたいと思ってるからこうなってほしいとか、楽曲に対する思いというのはあんまり聞いたことはないんです。ただ……これは今までと変わらなかったりもするんですけれども、カミカゼさんは僕と同じ時代のロックバンドをずっと聴いてきて、誰よりも、たぶん僕以上に、ロックミュージックというものの――言葉選ばずに言いますけれども、衰退というものに関して非常に懸念していると同時に、結構ドライな目でも見て、時代の潮流をもっと積極的に取り入れていこうというような姿勢があると思うんです」

――ロックに新しいものを取り込むことで時代に合わせてアップデートしよう、ということですね。

「はい。それに対しても自分自身は、もっと青臭かったりするんです。別にロックはロックのあるがままで、それがたとえこの時代において少数派の音楽であったとしても、それって実は自分たちが音楽を聴いていた時代とあんまり変わらないし、その中でマジョリティというものも打ちのめすような力が生まれてくるっていうのはずっと変わらないのかなっていう」

――ただ、たとえば今回カミカゼさんが書いた“Subliminal”とかを聴いてると、すごくストレートにロックやってるなって気がするんですよね。そう言われるとどうですか?

「どうなんですかね。それこそこの11年の中で、カミカゼさんはいろいろなチャレンジというものを率先してやってきたほうだと思うんです。そしてそれはまだやり尽くしてはいないと思うんですよ。今もやろうという野望というか、欲はあると思うんですけども、その中でも、やっぱり自分が育ってきた畑っていうものを出していくべきというか、全然出しても大丈夫だなっていう自信は持ってきているのかなという感じはします。今まで以上にそのロックの部分が出てるという印象を受けられてるのであれば、そこの部分だと思うんですよね。自分の出汁というものを惜しみなく出すことも、やっちゃっていいんじゃねえかっていう覚悟というか、自信が表れてるのかなというふうに思います」

壊シタ中デイチバン大事ナノハ「デモモウ1回始メマショウヨ」ッテイウ気概ダト思ウンデスヨネ

――そういう意味では、僕、すごく好きなのが“クラクション・マーク”っていう曲なんですけど。めちゃくちゃシンプルなパンクチューンになっていて。

「そうですね。この曲は、最初からそういうつもりで作りました。アイディアは古くからある楽曲でもあるんですけども、ずっと着手してなかったんです。このアルバムに入れる時も、それこそ、僕らが挑戦してきたこと、時代にある程度寄り添ったサウンド感だったりとか、そういうものを全部考えずに、最もシンプルな、それこそパンクチューンに聴こえるように作っていこうというのがいちばんの命題ではありましたね」

――実際やってみてどうでした?

「一言でいうと、懐かしい感じ(笑)。ものすごく懐かしい感じがしましたね。でもそれと同時に……音数も圧倒的に少ないんですよ、他の楽曲と比べると。でも結局、そっちのほうが強かったりもするんですよね。生命力だけでいえばこっちのほうがあるんじゃないかって思った。この形、『これ』がいいんじゃないかというのは感じました。楽器の生命力や表情もものすごく強く出てきますし、それをこの楽曲をやる中で再発見したというか。今までいかに自分たちが、デジタルサウンドを入れないとオケが熱くならないんじゃないかっていう強迫観念みたいなものを感じていたか、それは決して無駄ではないですけれども、ちょっと勘違いだったのかもなって」

――そういうサウンド感もまさにそういうことなのかなと思うんですけど、このアルバムの曲たちの中で繰り返し出てくるのが「もう一度始めるんだ」、「ここから始めるんだ」、「もう1回やるんだ」っていうことで。それはこの時代に対するメッセージでもあると同時に、MAN WITH A MISSION自身、ロック自体に向けたテーマでもあると思うんですよね。

「それは深層心理というか、自分たちがこの11年間、バンドとして音楽を作り続けてきて、いろんなものを発信してきたと同時に、たぶん心のどこかで取りこぼしてしまってるものもあるんじゃないかっていう自覚かもしれないですね。まだやれてないんじゃないかというか。それは後悔という意味ではなくて、『まだやれるんじゃない?』っていうか。それが自分たちに対する期待値であり、世界に対する期待値でもあり、ロックミュージックに対する期待値でもある気がしますね。あとは今、僕らが直面しているコロナ禍っていう問題があって、それと同時に、たとえばBlack Lives Matterだとか、世界中でいろんな問題が浮き彫りになってきて。歴史を見ても、平和な時は残念なことに何もよくなっていないんですよ。本当に限界まで問題が悪くなった時に初めてよくしようと思えるし、思想や芸術作品もそういう時代のほうが鋭利なものが生まれたりする。いろいろなものがどんどん壊れていく中で、でも実際壊れなきゃ、また違うところに進めないのであれば、壊した中でいちばん大事なのは『でももう1回始めましょうよ』っていう気概だと思うんですよね。そこのメッセージを込めさせていただきました」


【JAPAN最新号】MAN WITH A MISSION、最高傑作『Break and Cross the Walls I』完成! 世界を鼓舞しロックを救う5匹に迫った最速取材
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【JAPAN最新号】MAN WITH A MISSION、最高傑作『Break and Cross the Walls I』完成! 世界を鼓舞しロックを救う5匹に迫った最速取材

11月30日(火)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号では、MAN WITH A MISSIONのニューアルバム全曲解説インタビューを掲載!


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