《人生がもし2回あるのなら》という歌詞を解釈するのが難しくて。でも私自身も青春の中の悩みとかはあるから、その感情を歌に乗せられればいいなって(柳)
――「こなれ感」ってきいなさんが言いましたけど、まさにこの曲の「切ない」という感情とかを伝えるには、たとえば全力でヘドバンして盛り上がるスカパンクとかとはまた違う熱量や繊細な表現力が必要ですよね。人間力が丸裸に出るようなものでもあると思うし。
上田 今回cocoroyenさんという18歳の方が振り付けてくれたんですけど、できあがった振り付けを見た時に「え、難しい」みたいな感じだったんですよ(笑)。みんなでガチガチに揃えるとかじゃなくて、それぞれの表現力がないと成り立たない振り付けだなと思って。それは……もうちょっと頑張りたいって思うくらい、まだまだ追いついてはないんですけど。
――理想に辿り着くためには何が必要だと思いますか? ただひたすら練習すればいいというわけじゃないですよね、きっと。
希山 私は、ライブの時は全身で音楽を感じたいなと思って。何も考えずにただもうその場で楽しんで表現しようって。
瀬田 なんならお客さんも私たちのことを観ずに楽しんでる方もいて。それくらい私たちも自分たちの世界に入れるといいなって思います。
上田 お客さんとどっちが楽しさを表現できるか勝負、みたいなところはあるよね(笑)。
蒼井 Aメロ、Bメロは切なさを出すために、指先まで気をつけることを意識してます。サビは視野をすっごく広くする感じで、みなさんが楽しんでくれてるのを見て自分も楽しむということを考えながらやってます。
春乃 ツアーの初日に初披露した時はガッチガチだったんですけど、披露していくにつれて、ファンのみなさんが思い思いに楽しんでくれている姿を見て私たちもすごく楽しくなって。楽しさを高め合っていくことで成長する曲だなと思うので、よりよい表現ができたらみなさんももっと楽しんでくれるだろうなって。レッスン場でたくさんレッスンするのもいいけど、もっといろんなところでたくさん歌って掴んでいきたいなと思います。
――しかも、恋愛の切なさだけじゃなく、いろんな種類の切なさが織り交ざったような歌詞ですもんね。
春乃 最初の愛ちゃんのパートにある、都会に憧れる気持ちとか、「でも自分が育ったところにも良さがあるんだ」みたいな気持ちにすごく共感しました。それは地方で育った人に共通する感覚なのかなと思うんですけど。私も長崎出身で、東京はもちろん福岡さえも都会に感じて憧れた時があったし、でも高校生くらいになると自分の街にもいいところがたくさんあるんだなって気づいたので。そういうところはたくさんの人に共感してもらえるんじゃないかなと思います。
上田 大人になって故郷を思い出す時にも聴いてほしいんですけど、今の若い子たちに「みんなが住んでいるところもいいところだよ」って言ってあげたいというか。そういう曲でもあるのかなと思います。
瀬田 ばってん少女隊が東京とかで活動する選択肢もあるけれど、やっぱり福岡・九州を盛り上げたいという気持ちとか、みんなそれぞれ地元が好きという気持ちがあって、それが歌詞に乗っているなと思います。レコーディングの時は、ちょっと寂しさとかグッとくるものを持っているけど、それを表に出さず、笑顔でずっと地元にいる感じをイメージしました。「みんな帰ってこないかなあ」くらいの笑顔と明るさ。この前成人式があったんですけど、結構もうみんな離れ離れになっちゃっていて。それが寂しいなって思いつつ、でもまた会えるよねっていう、そういうフッと笑う感じを表現しようかなと思いながら歌わせてもらいました。
柳 私はメンバーの中で唯一早口じゃないパートを歌っているんですけど、だからこそもっと感情を出せたらいいなと思って。《人生がもし2回あるのなら》という歌詞を解釈するのが難しくて、「これはどういう意味なんだろう?」って考えたんですけど、私自身も青春の中の悩みとかはあるから、その感情を歌に乗せられればいいなって。レコーディングの時に「もっと悩んでる感を出して」って言われて、その感情になりきって歌うのが難しかったんですけど、新たな挑戦ですごくよかったです。
曲がいいからこそ、活かすも殺すも自分たち次第。そこには怖さもあるけど、たくさん力をつけて良さを伝えていきたいなと思います(春乃)
――この夏はフェスの機会も多くて、ラインナップにバンドが多い中での出演や、初めてばってん少女隊を観る人も多い中でのパフォーマンスもあると思います。ばってん少女隊としてはどういうふうに戦っていきたいですか?上田 前までは盛り上がる曲が多かったんですけど、今年は“OiSa”みたいな、みなさんに自由に楽しんでもらえるような曲もたくさんあるので、それを音楽好きのみなさんと一緒に楽しめたらいいなと思います。
瀬田 以前はロックやスカコアで、そういう音楽が好きな方たちと一緒にぶち上がりたいというのがあったけど、今は別の戦い方もできるような楽曲ができたので。音楽を楽しめるライブをやりたいなと思います。
蒼井 私はまだ青空の下でみなさんと一緒に楽しむということをあまり経験してなくて。実際にそれを体験できるのはすごく楽しみだなって思うし、それを経験して“虹ノ湊”を自分の中でもっと深めていきたいです。たくさんフェスに出させていただけるチャンスを頑張っていきたいなと思います。
春乃 もう音楽はかっこいいものをたくさんいただいていて、そこは本当に誇っていきたいし。私たちのダンスとかフォーメーションはアイドルにしかないもので、バンドさんにはないものなので、それらで魅せることに特化した曲と、みなさんと一体になって盛り上がる曲のメリハリをつけて、私たちらしいステージを作りたいなというふうに思います。
――きいなさんは前回の取材でも「『アイドルだから』って毛嫌いするような人にも届けたい」ということを話してくれましたよね。フェスはその絶好のチャンスでもあると思います。
春乃 そうですね。今までアイドルとかばってん少女隊がまったく視野にすら入ってなかった人たちの目にちょっとでも入れてもらえる機会だと思うので、せっかくの機会を無駄にせず、たくさんの人に観てもらいたいなというふうに思います。アイドルらしく盛り上がる曲だけだと敬遠されがちになるのかなと思うので、“OiSa”とか新しい武器を持って、音でも、そして視覚でも、みなさんを魅了できるように頑張りたいです。
上田 きいなが言った通り、“OiSa”、“わたし、恋始めたってよ!”、“YOIMIYA”、“虹ノ湊”と、かっこいい楽曲をいただいているんですけど、その楽曲の良さを倍増して届けられるかどうかは私たちが重要になってくるので。フォーメーションや振り付けもそうですし、一つひとつの表情や動作から、「なんかステージ観ちゃう」みたいに思わせたいなって思います。
春乃 “虹ノ湊”もそうだけど、曲がいいからこそ、活かすも殺すも自分たち次第。そこには怖さもあるけど、たくさん力をつけて良さを伝えていきたいなと思います。