SEBASTIAN X@赤坂BLITZ

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万感の集大成でも淡い走馬灯でもない、「今」を生き、命を燃やす者の輝き。ツアーファイナルにして活動休止前最後のライヴとなった『SEBASTIAN X ツアー2015 「こころ」』赤坂BLITZ公演。3時間に及ぶライヴの最後の一音を終える瞬間まで、SEBASTIAN Xはその輝きを絶やさなかった。「あからさまに人生の分岐点に立ってる私から言えることは……斜に構えてる暇はねぇぞ!今しかないんだ!」「あなたの命をずっとずっと歌うから、みんな生きてね!聞こえてんのか、赤坂!」——爆音のなかから真っ直ぐ伸びる永原真夏(Vo)の叫びに、熱い歓声が集まっていく。

SEBASTIAN X@赤坂BLITZ
「SEBASTIAN X、ワンマンライヴ始めます!」。沖山良太(Dr)の掛け声のあと、飯田裕(B)/工藤歩里(Key)/沖山が息を合わせて1発。真っ赤なドレスの永原が登場し、“つきぬけて”からライヴはスタートした。コール&レスポンス必至の“イェーイ”、4人が一斉に歌う《そして音楽は続くだろう》のフレーズが力強い“FESTIVAL”と、序盤はアッパーチューンの連続。永原からの呼び掛けに対し、歓声やハンドワイパーで応えるオーディエンス。その様子を見て笑顔を浮かべる沖山。メンバーとしきりにアイコンタクトをとる工藤。ギリギリまで前に出て演奏する飯田。マイクなしでも奥まで届きそうなほどパワフルな歌を放つ永原。ぶつかり合い弾け合う「喜び」のサウンドが、光の洪水のように溢れ出した。

SEBASTIAN X@赤坂BLITZ
目まぐるしく拍子が変わりまくる“LIFE PLEATS”(自主制作盤『LIFE VS LIFE』収録)、赤い照明が情熱的な“サファイアに告ぐ”など、多彩な表情を見せた中盤パート。特に、永原の亡き愛猫「ユカ」について歌った“日向の国のユカ”〜“サマタイム・キル”という流れが素晴らしかった。豊かに空白を挟んだアンサンブルやリバーブの深い歌声が印象的だった前者。そしてその余韻を自ら打ち砕くように、切れ味の良い4発の音から突入した後者。その他にも“若き日々よ”“怪獣のバラード”などここにきて格段に深みが増した曲は多く、今日で休止なんてもったいない……と思ってしまったのが本音である。

SEBASTIAN X@赤坂BLITZ
「大したことなんてしなくてもいいんだよ。本に書いてあることよりも、テレビでやってることよりも、君が生きてるってことが正解だ!」(永原)という言葉が添えられた最大級の人間讃歌=“ラブレターフロム地球”からライヴはラストスパートへ。「大好き」「SEBASTIAN X」「赤いドレス」「はじけろー!」とこの日限定のコール&レスポンスもキマッた“ヒバリオペラ”。沖山→飯田→工藤のソロ回しや会場一体となったシンガロングが祝祭感に華を添えた“スーダラ節”。そして“GO BACK TO MONSTER”を経て、「あと1曲、心を込めて」と“こころ”が届けられたところで本編終了。アカペラでの歌い出し、いつの間にか裸足になっていた永原が力強くステージを踏みしめる姿を、真っ白なスポットライトが照らしていた。

SEBASTIAN X@赤坂BLITZ
鳴り止まない拍手に応えて4人が再登場。アンコールでは“感受性に直行”“DNA”を、さらにダブルアンコールでは、ライヴで初披露の“春になったら会いにきて”、そして“ワンダフルワールド”を演奏。感極まり泣き出した永原は3人の方を向いて「大人になったらまた一緒にバンドやろう!」と告げたのだった。そうして未来を約束できたのはきっと、彼らが「今」を全身で肯定するバンドで在り続けたからであろう。SEBASTIAN Xの核心をかつてなく深く刻みつけられた、最高のライヴだった。(蜂須賀ちなみ)

■セットリスト
01.つきぬけて
02.ROSE GARDEN, BABY BLUE
03.光のたてがみ
04.イェーイ
05.世界の果てまで連れてって!
06.フェスティバル
07.LIFE PLEATS
08.サファイアに告ぐ
09.スピカ
10.日向の国のユカ
11.サマタイム・キル
12.サディスティック・カシオペア
13.ラブレターフロム地球
14.愛の跡地
15.若き日々よ
16.怪獣のバラード
17.F.U.T.U.R.E.
18.ひなぎく戦闘機
19.Sleeping Poor Anthem
20.ヒバリオペラ
21.ツアー・スターピープル
22.スーダラ節
23.GO BACK TO MONSTER
24.こころ
(encore)
25.感受性に直行
26.DNA
(encore2)
27.春になったら会いにきて
28.ワンダフルワールド
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