「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール

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6年前の川西幸一(Dr)、一昨年の手島いさむ(G)の日本武道館と、ユニコーンがメンバーの50歳を祝う恒例の生誕祭。今年は奥田民生(Vo・G)の番ということで、5月11日、12日の2日間、民生の故郷・広島の広島文化学園HBGホールで「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」が行なわれた。今回のライブは全国の映画館でも生中継されたほか、東京ではZepp DiverCity Tokyoでのライブビューイングを実施。その 2日目の模様をレポートする。

「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール
「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール
トップバッターは民生の弾き語りソロ。ステージの中央に用意された多くのギターの中から、アコースティックギターを1本選ぶと、まずは“ひとりカンタビレのテーマ”をラフなムードでさらりと歌った。「正直、昨日で体力を使い果たしてしまったので、2日目は最初が弾き語りでよかったです」と、第一声。前日も3時間以上のライヴを歌い切っているのだ。それでも“荒野を行く”では次第に歌声に力が入り、熱を帯びていく。「いかん、いかん。頑張ってしまった(笑)」と一言。ギターでイントロのみを弾いて「サンキュー!」と終わらせるフリをして笑いをとると、高速で刻むメトロノームにのせたのは “マシマロ”。と、ここで重大発表があった。民生が所属レコード会社キューンミュージックを離れて独立すること、さらに「RCMR」=ラーメンカレーミュージックレコードの設立を報告したのだ。突然の発表に会場がどよめくなか、ラストは民生ソロを代表するナンバー「イージュー★ライダー」で会場が一体となる大合唱を巻き起こしてステージを締めくくった。

「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール
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続いて登場したのはサンフジンズ。カイ・ギョーイ(民生/Vo・G・B)とジューイ・ラモーン(岸田繁/Vo・G・B)、ケン・シューイ(伊藤大地/Vo・Dr)が、肩には聴診器をかけ、手にはカルテを持ち、白衣姿で登場した。“富士夫人”“さっさっサンフジンズ”と冒頭は民生がギター、岸田がベースを掻き鳴らす。サンフジンズの曲は、ゆるい歌詞と3人のかっこいいセッションが持ち味。民生がステージ前方に歩み出て、ギターソロを決めると広島会場の総立ちの客席がスクリーンに映った。直球ロックンロールな“サーフジーンズ”のあと、「歌詞は《サーフジーンズ》と《ウワーオ!》だけです」と民生が言うと、「ウを忘れて、ワーオだけ参加しました……すみません」と、岸田。続いて民生がベース、岸田がギターに楽器をチェンジした“パン屋さん”のあとには、「サンフジンズ、レコーディングもやってるので、そのうちアルバムも出します」と民生からうれしい報告もあった。そして、ラスト“サンフジンズのテーマ”では3人のプレイヤーが思い思いに見せ場をつくると、がっしりと肩を組んで楽しげな表情のままステージを去っていった。

「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール
「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール
「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール
そして、いよいよトリはユニコーン。今回の「もみじまんごじゅう」に向けてはHR/HM仕様の新曲が作られ、アーティスト写真やロゴまでそのテーマが統一されていた。ステージには2段組の迫力のセット。そこに揃いのツナギでロン毛のカツラを着用したメンバーが立つと、川西がスティックをくるっと回して、胸の前で十字を切る。メンバーは完全にハードロックバンドになりきっていた。フライングVを抱えて客席を練り歩くABEDON。このイベントのための新曲“ロック! クロック! オクロック!”の演奏が始まると、満を持して民生が登場した。ステージには巨大な炎がボッとあがる。近くにいた民生は「熱っ!」と逃げる場面も。ユニコーンらしい徹底した遊び心に、ライヴビューイングの会場も本物のライヴ会場さながらに最高潮の盛り上がりだ。
続けざまに“大迷惑”ではメロイックサインで煽る民生。「今日は誰の誕生日か知ってるかー!?」とABEDON が叫ぶと、会場にはO!T!O!T!の声が飛んだ。ABEDONが歌った“WAO!”のあと、おもむろに客席に背中を見せた民生が、《届かない~》と歌い出したのは、まさかの“I'M A LOSER”!さらに、EBI(B)と民生が歌った“ペケペケ”、50歳を迎えた民生の「らしい」決意を込めた新曲“私はオジさんになった”など、どこまでも民生が主役のラインナップ。MCではメンバー同士の会話に「え?」と聞き返すことが多くなったという話題で笑いをとると、続く“はいYES!”では手島いさむ(G)のギターで痺れさせる。そして、ラストは“Feel So Moon”。ユニコーンらしい奥深いロマンを湛えた、盤石の演奏をもって感動的な大円団を迎えた。

「ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”」@広島文化学園HBGホール
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すでにライヴは開始から3時間が超えていたが、熱烈なアンコールに応えて、再びメンバーがステージに登場。テッシーとABEDONが“スモーク・オン・ザ・ウォーター”のイントロをツインギターで聴かせると、“人生は上々だ”では民生がABEDONのパートを歌う特別バージョン。途中の「走りつづけるー」のフレーズは見本を見せるとマイクをとったABEDONが、「はしりーつー、つ~ゆ~♪」と強引にバースデーソングに繋げ、サプライズで登場したPUFFYが誕生日ケーキを運び入れ、みんなで民生の50歳を祝った。アンコールの最後には“すばらしい日々”でステージに無数の光が降り注ぎ、スクリーンには順々にメンバーのいい表情が映し出される。そして最後に、この日もう何度も口にした感謝の言葉を、ひときわ丁寧に「ありがとうございました!」と深く頭を下げた民生。こうしてユニコーン3人目の50歳も無事に「儀式」を終えたのだった。(秦理絵)
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