BUMP OF CHICKEN @ さいたまスーパーアリーナ

BUMP OF CHICKEN @ さいたまスーパーアリーナ - BUMP OF CHICKENBUMP OF CHICKEN
Zepp、幕張メッセときて、このツアー3度目の東京公演というか東京近郊公演(正しくはZeppと幕張は別のツアーですが、まあどっちも『orbital period』のリリース・ツアーってことで)=追加公演は、バンドにとって初のさいたまスーパーアリーナ2デイズの2日目。

選曲、よし。ニュー・アルバムの曲を中心に代表曲も色々、という選び方は定番だけど、その並べ方というかつなぎ方がよくて、何度も「おおっここで!?」という瞬間があった。照明や映像やステージセットなんかの演出、よし。バンプというバンドのキャラクターに合わせて、とにかく必要最小限のことしかやらないようにしている、でも「何にもやりません」ってだけでもない、ストイックでシビアな感じがいい。演奏、よし。もともとプレイ的には決してぶっとくたくましいバンドではないが、メジャー移籍ぐらいから現在まで(つまりここ8年ぐらいずっと)、ツアーを観る度に毎回「前回のツアーの時よりよくなってるなあ」と思っているような気がする。今回もそうでした。

というわけで、もっと微に入り細に入り色々書きたいところですが、そうです。だめなのです。まだ、あと大阪と沖縄の追加公演が残っているのです。大阪はまだやむをえないが、問題は沖縄だ。こないだのケツメイシもそうだった。というかみんなそうだ、でかいバンドのでかいツアーは。最後に沖縄、っていうこのパターンは何なのか。沖縄で打ち上がりたいってことなのか。そんなに沖縄が好きなのか。俺は大好きだ。大好きなのに、そしてそれなりにこの仕事長いのに、なんでこれまで一回も「○○のツアー・ファイナルで一緒に沖縄へ」みたいな経験が、一度たりともないのか。って書いて、過去に誘われたことがないわけではないのを思い出した。いつも別の仕事が入っていてダメだったのだった。知人の音楽ライターとかがうきうき出かけていくのを、指をくわえて見ていたのだった。バンプに全然関係ない話になっているのだった。書ける範囲で戻します。

今日、強く印象に残ったこと。これいつも思うんだけど、そもそもバンプのようなバンドにとって、アリーナクラスの会場でのライブというのは、無理がある。武道館ぐらいまで、つまり1万人くらいまでは平気だけど、それ以上は厳しい、はずなのだ。いや、バンドの力量とかの問題じゃなくて、単純に、物理的な、音楽性とバンドのキャラクターの問題です。

ハコがでかければでかいほど、そして人が多ければ多いほど、「いかにもたせるか」ということが重要になってくる。例えば、サザンもゆずもケツメイシも、ダンサーが何十人も出てきたり、映像ばんばん使ったり、途中で寸劇が入ったり、色々豪華な演出あるでしょ。そういうことです。バンプには合わないでしょ? そういう演出。あと、でかいとこでやるアーティストになればなるほど、鍵盤やパーカッションや女性コーラスなんかのサポート・メンバーがどんどん増えていくでしょ。あれも、そういうことです。言うまでもなく、これもバンプには合わない。というか、やってほしくない。

じゃあそれ以外の、3人とか4人のギター・サウンド主体のバンドはみんな無理なのか、というと、実はそうでもない。パンク方面やラウド方面、つまり激しかったり速かったりうるさかったりして、「何万人規模でもライブハウスと一緒だ、お客さんみんな大暴れだ!」みたいなバンドも、それなりに大丈夫だったりする。ハイスタ然り、エルレ然り、ホルモンしかり。しかし、言うまでもないが、バンプはそうではない。

あと、アメリカのでっかいロック・バンドみたいなスタイルのバンド、つまりボーカルがクレーンに乗って歌ったり、ステージから長い花道が伸びててそこをギターとベースが演奏しながらだーっと走って行ったり、特効で火柱がばんばん上がったりするようなタイプのバンドも、大丈夫。もちろんバンプはそうではない。花道走るくらいは平気かもしれないが、藤くんには決してクレーンに乗ってほしくはない。ましてや、もし升のドラムがセットごとウィーンって上に延びて、そのまま客席フロアの方にずずずーっとせり出してきたりした日には、もうどうしていいかわからない。それはYOSHIKIとかモトリー・クルーのトミー・リーだからいいんであって、バンプではそれはないだろう。

というわけで、そうなのだ。「パンク・ラウド方面じゃないギター・バンド」「派手な演出が合わない音楽性とキャラクターのバンド」という点において、大会場に向かないスタイルなのだ、バンプは。ボーカリストはギター弾きながらだから、マイクスタンドから離れられないし。つまり、動きが限られるし。もちろんこれはバンプだけじゃなくて、例えばこないだのSyrup16gのラスト・ライブも、武道館だったから完璧だったけど、あれがもしさいたまスーパーアリーナだったら、結構微妙な空気になっていたと思う。ART-SCHOOLも、うるさめな曲ばっかりやれば平気かもしれないけど、そうじゃない曲だとつらいと思う。ACIDMANの幕張メッセもちょっと心配なとこもあるけど、あのバンド、ライブになると結構ラウドだから大丈夫か。

そもそも、ギター主体のシンプルなロックンロール・バンドの世界代表、ローリング・ストーンズだって、ライブになるとサポート・メンバーうじゃうじゃいるでしょ? スピッツが、フェス以外では頑なに大会場ではやろうとしないのも、そういうことだと思う。さすがにそろそろやってもいいのでは?とも思うが。

話をまた戻します。で、バンプはその困難さにどう立ち向かっているのかというと、「気にしない」っていう方法でもって立ち向かっているのだった。細く見えようが地味に見えようが関係ない、歌をじっくりと聴かせる、音をしっかりと鳴らす、そして生身をさらけ出す、とにかくやれることをせいいっぱいやる、たとえ不安になってもよけいなことはやらない、というやり方で、闘っているのだった。その生身さが、正直すぎるくらい正直な感じで、なんかとてもよかった。すごくやせこけてるんだけど背筋はピンと伸びている、そして眼力(めぢから)はキッと強い、みたいなイメージで。

バンプのライブって、みんなが大合唱していても、ピョンピョン跳ねている時も、身じろぎもせずに棒立ちでじいっとステージを見つめているだけのファンが、必ずいる。結構いる。男が多い。あの人たち見てるの、なんか好きだ。バンプの歌が、正しく伝わっている感じがして。盛り上がっている人たちには伝わってないってことではありません。ただ、10代の頃の自分は明らかに棒立ちタイプだったので、なんかわかる気がして。(兵庫慎司)
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