ドラマストア/渋谷 CLUB QUATTRO

ドラマストア/渋谷 CLUB QUATTRO - All Photo by 小杉歩All Photo by 小杉歩
※以下のテキストでは、演奏曲のタイトル及びセットリストを表記しています。ご了承の上、お読みください。

チケットは即日ソールドアウト。満員の渋谷クラブクアトロで、ドラマストアが披露した楽曲の1曲1曲には、様々な日常を懸命に生きる「主人公たち」のたしかな息遣いがあった。昨年4月にバンド初のフルアルバム『DRAMA STORE』をリリースしたドラマストアが、それに伴う全国ツアーとして開催した「ドラマチック・ミュージックショー」のアンコール編でもあり、9月にリリースされた2ndシングル『ラブソングはいらない』を引っさげたツアーでもある、全国15公演の「2nd Single『ラブソングはいらない』リリースツアー&『ドラマチック・ミュージックショー』アンコールツアー」。そのツアーファイナルだ。

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ピアノのインスト曲をSEに、背中から強い光を浴びて、長谷川海(Vo・G)、松本和也(Dr・Cho)、鳥山昂(G・Key)、髙橋悠真(B)の4人がステージに現れた。フロアの隅々まで響きわたった力強いバンドサウンド。《聞こえる? 始まりの合図さ》という長谷川の第一声が、「いよいよドラマストアのライブが幕を開ける」という期待感をいっそう強くかきたてる。「いくぞ、東京!」。長谷川の掛け声を合図に、ベースの髙橋が軽やかなステップを踏み、ギターの鳥山がキラキラとしたフレーズを奏でた“世界はまだ僕を知らない”、躍動感あふれる“冒険譚”へと、冒頭は、アルバム『DRAMA STORE』の楽曲が収録順のとおりに披露された。バンド結成から5年目となった2019年。ドラマストアが満を持してリリースした初のフルアルバム『DRAMA STORE』は、「時代を問わず歌い継がれるポップソング」をバンドの信念とする彼らの在り方を体現する、とても振り幅の広い1枚だった。そして、そのカラフルな色彩は、ライブでも、まったく霞むことなく鮮やかに表現されていた。

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最初のMCでは、「すごい景色です! 序盤から泣いてしまいそうなので、ずーっと(フロア後方の)非常口のランプを見ていました(笑)」と、長谷川。初の渋谷クラブクアトロという、ワンマンとしてはバンド最大キャパの会場に立つ達成感を冗談っぽく伝えたが、それでも、歌っているときの長谷川は、そこにいる一人ひとりにその声が届くように、しっかりとフロアに視線を投げかける姿が印象的だった。ミラーボールが美しい光を放つなか、松本がダンサブルなビートを繰り出した“イミテーション・ミュージックショー”、変幻自在なテンポチェンジで揺さぶった“GAME”から、社会人2年目のサラリーマンの視点で「働くこと」の意味を問いかけるポップナンバー“Work&Work”へ。ギターの鳥山が、ときにギターを、ときに鍵盤をと、楽曲ごとに役割を変えることで、攻撃的にも、温かくもなる。そうやって、次々に表情を変えるステージがドラマストアの大きな武器だ。

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中盤、“秘密”からは、聴かせるバラードが続いた。東京の地名を散りばめた初期の名曲“東京無理心中”、仄暗いライティングのなか、歌謡テイストなメロディをのせたピアノのみの伴奏が、やがてエモーショナルなバンドサウンドへとなだれ込んだ“Lostman”、さらに、心地好いグルーヴに揺れた“きえないまぼろし”へ。ぐっとテンポを落とした楽曲でこそ、ドラマストアのメロディの良さは映えるが、なかでも“ラブソングはいらない”は素晴らしかった。「あなたから離れたくない」というピュアな感情を切り取った甘酸っぱいメロディ、ふたりの関係を幾重にも想像できる奥行きのある歌詞と、その舞台を豊かに盛り上げるアレンジ。その普遍的なサウンドは、彼らが、ライブハウスシーンだけにとどまらず、やがてもっと広いステージに拡がるべき存在であることを強く感じさせるものだった。

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この日は、最初のMCのあと、10曲にわたり、一切MCを挟まない構成も秀逸だった。あくまでステージの主役は「バンド」ではなく、「楽曲」そのもの。そんな気迫すら滲む見せ方が成立するのも、伝えるべきことを、あますことなく演奏と言葉に詰めこんだ、ドラマストアの歌自体が持つ説得力があればこそだと思う。そして、最後のMCでは、フロアの前方で涙するお客さんの姿が目に入ったのだろうか、長谷川が「見えるとこで泣かんといて、(自分も)ヤバいわ(笑)」と、彼らしい言葉で笑いをとり、ギターをかき鳴らしながら語りかけた。かつて神戸では150人程のライブハウスを埋めるのも精一杯だったこと、そんな自分たちがキャパ約800人の渋谷クラブクアトロを埋めることができたことへの感謝。それらを誠実な言葉で伝えると、「全然後ろが見えなくなるぐらい、もっと大きな景色を見たい」と、これからの未来に寄せる決意の言葉を重ねた。

しんみりしたMCの雰囲気を断ち切るように、「東京、泣いてる場合じゃない! まだ遊び足りない!」という長谷川の言葉を合図に、危険な香りがするロックンロール“Dancing Dead”を新曲として披露すると、いよいよライブはクライマックスに向けて、再びヒートアップ。松本の高速フォーカウントから突入したピアノジャズテイストの“三文芝居”のあと、4人のキレのある演奏が炸裂した“スイミー”では、長谷川が「大好きだー!」と叫んだ。ラストは、アルバム『DRAMA STORE』でも最後を飾る“三月のマーチ”。春風のような爽やかなサウンドが軽やかに転調し、遊び心あふれるアウトロの締めくくりで演奏を終えると、大きな拍手に見送られて、メンバーはステージをあとにした。

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アンコールでは、長谷川と松本のふたりだけが登場して、大阪のバンドらしく、漫才のようなやりとりで会場を笑わせたあと、4月15日(水)にミニアルバム『Invitations』をリリースすることを発表。そのなかから、いち早く披露された“可愛い子にはトゲがある?”は、初めて披露された楽曲にも関わらず、その心踊るサウンドに導かれるように、フロアには自然と手が挙がった。さらに、盛大なシンガロングを巻き起こした“Messenger”、“アンサイクル”ですべての力を出し切った。演奏が終わったあとも、ダブルアンコールを求めるフロアの声がなかなか鳴りやまず、急遽再登場しての“シティトークが終わらない”で全23曲におよぶライブは終演。

なお、ドラマストアは、ミニアルバム『Invitations』のリリースにあわせて、4月から初となる全国ワンマンツアー「可愛い子にはワンマンさせよツアー」の開催も決定している。ツアーファイナルは、またもバンドの最大キャパを更新する渋谷 TSUTAYA O-EASTだ。2019年に続き、2020年もまたドラマストアにとって飛躍に年になりそうだ。「ポップバンド」としてのバンドはブレることなく、音楽的な挑戦と進化を重ねていく、彼らの「この先」が楽しみでならない。(秦理絵)

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●セットリスト
M1 エンドロール
M2 世界はまだ僕を知らない
M3 冒険譚
M4 イリーガルハイ
M5 ガールズルール
M6 イミテーション・ミュージックショー
M7 GAME
M8 Work&Work
M9 秘密
M10 東京無理心中
M11 Lostman
M12 きえないまぼろし
M13 ラブソングはいらない
M14 グッバイ・ヒーロー
M15 Stand by You
M16 Dancing Dead
M17 三文芝居
M18 スイミー
M19 三月のマーチ

(アンコール)
EN1 可愛い子にはトゲがある?
EN2 Messenger
EN3 アンサイクル

(ダブルアンコール)
WEN1 シティトークが終わらない


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