[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)

[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO) - All photo by 河本悠貴All photo by 河本悠貴

●セットリスト
SE.Burger Queen
1.For Freedom
2.Waitress, Waitress!
3. Starrrrrrr
4.Kids
5.Kill Me If You Can
6.city
7.Don't Fuck With Yoohei Kawakami
8.Untitled
SE.Burger Queen
9.Adventure
10.Run Away
11.ムーンソング
12.月色ホライズン
13.Dracula La
14.Girl A
15. Mosquito Bite
(アンコール)
SE.PARTY IS OVER
EN1.Thunder (B.J)
EN2.rooftop
EN3.ワタリドリ


「なかなか対バン相手が見つからない中、駆けつけてくれるバンドがいました。まだ詳しくは言えないのですが、なんかお酒の名前で色々あった人達ぽいです。」

実に6年ぶりとなる自主企画「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」の開催告知にあたってリリースされた川上洋平(Vo・G)のコメントには、思いっきり思わせぶりな文言が並んでいた。そんな「お酒の名前で色々あった人達」とのスペシャルな「対バン」初日は、久しぶりに観客の前で鳴らされた[Alexandros]のロックの破壊力とデカさを思い知るとともに、その破壊力とデカさをこの10年でひたすら磨き上げてきた彼らの歴史を実感する夜となった。

[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)

開演予定時刻を少し回ったころ、まずステージに登場したのは、このライブのMCを務める庄村聡泰(Dr)。「えー、一言だけ言わせてください。胃が、痛い!」。いつもどおり立て板に水のトークを展開するが、起きるのは笑い声のかわりに拍手のみ。明らかに勝手は違うが、「声を出せないぶん、ボディランゲージで心の声をステージに届けてほしいと思います!」と今日の心得を説き、「冥府魔道よりこのバンドが戻ってまいりました!」と先攻のアクトを呼び込む。アナウンスと同時にスクリーンに映し出されたのは[Champe]なるバンド名。そう、「彼ら」こそが「お酒の名前で色々あった人達」。説明するまでもないが、改名前の[Alexandros]である。この「対バン」は、過去の[Alexandros]VS今の[Alexandros]のガチンコ勝負なのだ。

おなじみ“Burger Queen”のSEで登場し、そのままセッションを始める川上、磯部寛之(B・Cho)、白井眞輝(G)、そしてサポートメンバーのROSE(Key)とリアド偉武(Dr)の5人。出てきた瞬間に懐かしさがこみ上げる。川上はタイトなブラックスーツ姿、磯部と白井の衣装も当時を彷彿とさせる。ロゼの被っているハットもそうだ。川上が「Are you ready?」とオアシスのステッカーを貼ったストラトキャスターを掲げて、デビューアルバム『Where's My Potato?』のリード曲“For Freedom”へと突入する。よくよく見れば、川上のストラトだけでなく、磯部のアトリエZも白井のES-335も、3人の後ろにあるアンプも、かつて使っていた機材だ。よくここまで再現したな(本人だけど)。

[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)
[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)

“Waitress, Waitress!”、そして“Starrrrrrr”と現在にいたるまで[Alexandros]を支え続ける楽曲を次々と繰り出して一気にギアを上げると、「こんな大勢の人の前でライブできるなんて光栄です。ありがとうございます! 『ディスフェス』にご招待いただき感謝しています。[Alexandros]さんありがとうございます」と川上。「今日ね、9割アレキのお客さんなんじゃないかと心配してたんだけど」と磯部もそこに乗る。そんなふうにあくまで[Champe]をまっとうしようとするも、話のところどころがたどたどしいのが微笑ましい。というか、どう見ても全員楽しそうである。そりゃそうだろう、ロックバンドにとってステージからお客さんに向けて爆音をぶちかます以上の喜びはないのだから。

流れるようなアンサンブルとキラキラと眩しいメロディがぐんぐんと広がっていった“Kids”から“Kill Me If You Can”の妖艶なグルーヴで熱い空気を混ぜ返すと、“city”を経て“Don't Fuck With Yoohei Kawakami”へ。間奏でリアドが打ち鳴らすお祭りビートが心を躍らせる。楽器が違うからか、メンバーの心持ちの問題か、それともこちらの気のせいか……とにかく鳴る音がフレッシュで尖っている。川上のボーカルもどこか荒っぽくて大胆だ。赤いライトのなか白井がソロを弾き倒すと、早くも[Champe]のライブはフィナーレを迎える。ラストは“Untitled”。《I’m gonna be a star》と歌われる、ファーストアルバム当時の彼らを象徴する1曲で[Champe]の晴れ舞台は幕を閉じた。

[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)
[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)

転換を挟み、再びステージにはサトヤスが登場。[Champe]のライブで熱くなったらしく、ジャケットを脱いでシャツの袖をまくりあげている。改めてステージを振り返り「なんかいい真夏の夜の夢、見せてくれてるなって感じですよね」と感慨深げに語り、いよいよ本日の「メインアクト」を呼び込む。

再度“Burger Queen”が鳴り響き、メンバーが登場。今度は白いロングシャツを纏った川上がフロアに向けて腕を広げる。そしてマイクを握り、“Adventure”からこの日のステージをキックオフさせる。雄大なシンガロングパートを経て、軽快なグルーヴに身体を揺らしながら歌う。このスケールの大きさ、このロックバンドとしての存在感。のっけから[Champe]との年季の違いを見せつけるような幕開けだ。背後のスクリーンには配信を観ているファンのコメントが怒涛のように流れている。目の前の500人と、画面の向こうのオーディエンス。その両方のハートをいっぺんに鷲掴みにするように、川上が叫ぶ。「[Alexandros]と申します! 最強の夏フェスにしようぜ!」。

[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)
[Alexandros]/「THIS SUMMER FESTIVAL 2020」@Zepp Haneda(TOKYO)

それにしても、初期曲のあとで“ムーンソング”や“月色ホライズン”のような楽曲を聴くと、その壮大さに驚く。それこそが、[Alexandros]が歩んできた道のりだ。自分たちの限界を超え、領域を広げてきた10年の歴史を、何よりもその音楽が雄弁に物語るのだ。「#おーおーおー」をTwitterのトレンドに入れたい、とオーディエンスを煽っての“Dracula La”では磯部がマイクをフロアに向けて心のシンガロングを求め、リアドのタイトなリズムと白井の軽快なリフがどんどんテンションを高めていく。そのまま流れ込んだ“Girl A”では重厚なギターのサウンドとスクリーンに映し出される歌詞のワードが一転してハードエッジな世界観を演出する。そして本編ラストの“Mosquito Bite”へ。重たいグルーヴをメロディの力で高く高く上昇させていくようなこの曲でバンドの底力を見せつけると、川上は「またあの日を取り返そうぜ!」とここに集まった全員の気持ちを代弁してみせた。

アンコールを待つ拍手が鳴り止まぬ中、“PARTY IS OVER”をバックにステージに戻ってきたメンバー。ミニマルなビートに乗せてひそやかに歌い始められたのは『Bedroom Joule』バージョンの“Thunder”だ。いうまでもなくこの奥行きと自由なアイディアは10年やってきたからこそ手に入れることができたものだ。そして「これからも我々は進んでいくし、もっとでっかいところでやっていきます。我々、生の音を出してなんぼなんで。死にものぐるいでやっていこうかなと思ってます。そして取り戻そうと思っております」という川上の宣言から披露されたのは、「また会える」という希望を込めた“rooftop”だった。

ラストチューンは“ワタリドリ”。「心から声出せ!」とフロアにマイクを向ける川上。もちろん声は聞こえないはずだが、なんだか巨大なシンガロングが鳴り響いた気がしたのは僕だけではないだろう。大団円を迎えたあとも、名残惜しそうにステージで話し続けていたメンバー(サトヤスもステージに呼び込まれ、久しぶりにステージに並び立つ4人の姿を見ることもできた)。とにもかくにも、ライブハウスに[Alexandros]が帰ってきた。その喜びは、オーディエンスもメンバーも一緒だったに違いない。(小川智宏)

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