京都大作戦二〇〇九〜暑いのに熱くてごめんな祭〜(2日目) @ 京都府立山城総合運動公園

「降水確率、初日:90%、2日目:70%……一滴も降っておりません!」と、主催者にしてヘッドライナーの10-FEET・TAKUMAも誇らしげに曲中MCで言っていたが、前日の「午前中は雨」の予報はどこへやら、陽射しが肌に痛いぐらいの快晴となった『京都大作戦』2日目! 1アクト終わるごとに、汗だくのキッズがポカリスエットの出店に、1日目とは比べ物にならないくらい長蛇の列を作っていたが、まさに誰もが「水飲まないとヤバい」と思うくらいの暑さだった。「暑い! これ以上踊ったらヤバいかも! でも楽しい!」という、一人一人のキッズが灼熱の太陽と勝負しながら楽しんでいるような異様なテンションが、2日目の会場にはあった。

「『京都大作戦』、絶対成功させるぞー!」と、メイン・ステージ「源氏ノ舞台」の口火を切ったGOOD 4 NOTHINGは、そのメロディックで性急なサウンドで、のっけからフィールドのあちこちで闘牛場のようなカオスを生み出していた。続くdustboxは、パンクとメタルが凌ぎを削る高揚感の中に、「こういうイベントを、バンドマンが主催するってすごいことなんよ! しかも、主催者の人柄が出てると思います!」というJOJIのめっちゃ笑顔のMCがあったり、スキッド・ロウのカバー“I Remember You”でのTAKUMAがレスポール抱えて登場したり、と歓喜炸裂のステージを観せてくれた。最初っからタオル大旋風を巻き起こしていたのは湘南乃風! 「俺らとダチの約束ができるってやつは、肩組んで歌ってくれ!」という若旦那の絶叫に導かれて、2万人のオーディエンスが肩を組んでフィールドに無数の曲線を描いていた(ステージでは湘南乃風のメンバーと10-FEETの3人が肩組んでる!)。「10-FEETに比べたら、俺ら9mmしかないからね! 夏が始まったなー!」というMCはもちろん9mm Parabellum Bulletの卓郎。激スラッシュ・ナンバー“We are innocent”をめっちゃ速いステップで踊りこなすキッズに、さらに畳み掛ける“Living Dying Message”! このでかいフィールドを轟音と笑顔で埋め尽くそうとするような、スリリングで楽しいアクトだった。

「今年20周年で、7年ぶりに、1年限定で復活しました!」と晴れやかなMCをするのは渡瀬マキ。そう、後半戦1発目はLINDBERG! おそらくCD1枚も持ってないであろう10代の子たちまで、“今すぐKiss Me”も“恋をしようよYeah!Yeah!”も“BELIEVE IN LOVE”も全部歌ってる! 続いて、「宇治といえばお茶ですね! みなさん、お茶にセクハラしませんか?」「……それ、平等院に怒られますよ!」という会話はもちろんBEAT CRUSADERSのタロウとヒダカ。「10-FEETはバカです! 大阪まで足伸ばせばフェスいっぱいあるのに、わざわざ京都でフェスやる、この地元愛!」と最大限の賛辞を贈りつつ、“CUM ON FEEL THE NOIZE”“HIT IN THE USA”などでアゲ倒しつつ、bloodthirsty butchers吉村を迎えた“SUMMEREND”のギター・サウンドで京都の夕空を覆い尽くしつつ、という全方位大放出ぶりだった。そしてthe HIATUS! 「初めまして、the HIATUSといいます! 個人的には『ただいま』です!」という細美のMCから“Ghost In The Rain”“Lone Train Running”といった楽曲の清冽なサウンドまで、すべてが壮大なスケールをもって響き渡る。「気持ちいいなあ! すげえ気持ちいい!」と何度も口にしながら、アルバム『Trash We'd Love』の楽曲を1つ1つこの広大な空間へと解き放っていく5人。最後の“Twisted Maple Trees”は、ロックも交響曲も越えた荘厳さでフィールドを満たしてみせた。

一方、DUFF/黒猫チェルシー/A(C)/MEANING/FU-TEN/UNCHAIN/LAST ALLIANCEといったバンドが集うニューカマー・ステージ=「牛若ノ舞台」も熱い! 酷暑の中、生っ白い身体に学ランを直で着て白目を剥いてがなり上げる黒猫チェルシー・渡辺大知は「おおきに! ありがとーさんのパンツ!」という昭和MCでフロアを凍りつかせていたし、UNCHAINは「全員クラップ・ユア・ハンズ! 『京都大作戦』楽しんでるか!」と「牛若ノ舞台」をクールで熱いダンス天国に変えていたし、LAST ALLIANCEはthe HIATUSと10-FEETに挟まれた時間帯にもかかわらず「このステージ最後ですけど、ぐっちょぐちょになって帰ろうぜ!」と切迫したメロディと爆音を鳴らして次から次へと多くの人を集めていたのが印象的だった。

そして……いよいよ2日間のラストを飾る10-FEETのアクト。「アーティストでも客でもなし! 全員が『京都大作戦』の一員。それ以上でもそれ以下でもない! いくぞー!」というTAKUMAの選手宣誓的MCが、まさに2日間にわたって会場に流れる濃密な一体感を象徴していた。“VIBES BY VIBES”“JUST A FALSE! JUST A HOLE!”と、闘志と歓喜のミクスチャー・ロックを畳み掛け、「ロックの神様が降りてきてんぞ! 願いごとすんなら今のうちやぞ!」と叫ぶTAKUMA。この日、TAKUMAは何度も「ロックの神様」と口にしていたが、それぐらいの神々しいほどのテンションと笑顔が、この日の会場にはあふれていた。「どうしよう! ヤバい! ヤバい!」と、熱いものがこみあげまくるTAKUMAの姿に、こっちもどうしようもなく胸が熱くなる。「明日から負けんなよ! ……いい顔で笑うねえ。カッコええぞお前ら!」。アンコールの最後は「宇治川と宇治市のみなさんに捧げます!」と“RIVER”。「お前ら座れ!」と2万人のオーディエンスを座らせるTAKUMA。「最後、みんなで跳ぶぞ! 9mm! 細美!」と出演アーティストをステージに招き入れ……最後の渾身のキメとともに、ステージもフィールドも全員一丸となってジャンプ! 圧巻の幕切れだ。「来年も来いよ!」とTAKUMAは言っていた。もう、最高だ。

以上、京都からお伝えしました。詳細なレポート記事を8月20日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号に書く予定なので、そちらもぜひ。(高橋智樹)
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