リンプ・ビズキット @ JCBホール

昨日のレイザーライトに続き、今日はリンプ・ビズキットの単独公演。僕の中ではまだ今年のサマソニは終わってません。JCBホールは熱気ムンムンのスシ詰め状態であります。少し開演時間が押しているところで、期待感と嬌声/奇声が会場から溢れ出さんばかりの状態だ。いよいよ照明が落とされ、幕の向こうでDJリーサルのスクラッチングが響く。そしてブレイクスに乗せたバンドのヘヴィな爆音で鳴らされるのは、『2001年宇宙の旅』のテーマ曲だ。地鳴りのような歓声が轟いた。

ステージの幕が開き、メンバーの姿が目に飛び込んでくる。おお、リンプだ。オリジナル・メンバーだ。一曲目は“ホット・ドッグ”。まず目をひくのは、やはりウェスである。全身が赤を基調としたデザインで、立派なトサカを乗せた七面鳥の化け物みたいな、特撮戦隊ものの敵キャラみたいなビジュアルがカッコいい。ダークでサイケなギター・フレーズを撒き散らし、弱から強へ、軽から重へと展開してゆくあの「リンプ節」を支える。……やっぱり、これだな。やはり、ウェスのギターがあってこそのリンプ・ビズキットなのである。それにしてもさすがJCBホール、ステージと客フロアの距離が近い。フレッドは前線のオーディエンスと上機嫌にタッチしたりしながら、ラップを吐き出している。

さて、ここでそれまでのヘヴィネス連打が一転、跳ねるようなファンキー・ドラミングとともに繰り出されたのは“マイ・ジェネレーション”だ。大きな歓声が沸き上がり、オーディエンスは曲中のコール&レスポンスやシンガロングにもバッチリ応えていく。続けざまにウェスとリーサルによる不穏でメロディアスなイントロがプレイされ、放たれたのが“マイ・ウェイ”だ。フレッドがスウェイを煽って盛り立てる。最初のハイライトが間違いなくここにあった。

それにしてもフレッド、このインタースコープ副社長は、トレードマークの赤いキャップに黒ジャージ+短パンという、僕の地元・神奈川県の山間部に生息する中学生ヤンキーそのままの格好をしている。ルパン三世もサザエさんもドラえもんも昔のままではいられない時代に、当たり前かも知れないが寸分の狂いもなく、フレッド・ダーストなのである。“ヌーキー”を歌い終えて、彼は言った。「お前の名前は何だ? お前は誰だ? 俺はフレッド・ダーストだ。ナイス・トゥ・ミート・ユー」。完璧だ。完璧にフレッドであり、リンプ・ビズキットだ。この日プレイされた楽曲の内訳を先にバラしてしまうと、デビュー・アルバムから1曲、2作目から3曲、3作目から8曲、4作目から2曲、5作目からはゼロ(!)だった。僕は、まるでリンプがデフォルメされたリンプ・ビズキットを引き受けたような3作目が好きではなかったが、結果的にこの3作目はリンプ最大のヒット・アルバムとなった。まるでミクスチャー界のラモーンズかAC/DCを目指すような金太郎飴スタンスで活動する当時のリンプだったが、それは批判の種にもなったし、より冒険的な表現活動をする野心も実力も持ち合わせていたウェスはバンドを離れたりもした。この先どうなるのかは分からないが、フレッドは何度でもウェスをバンドに呼び戻すだろう。そして、いつまでもフレッド・ダーストを演じ、リンプ・ビズキットをやるのだろう。彼が正しかったのだ。誰もラモーンズやAC/DCにはなれないように、誰もリンプ・ビズキットにはなれないのだから。この日のリンプは、まさにそういうステージを繰り広げていた。

「俺はマイケル・ジャクソンを愛している。でも、ジョージ・マイケルも好きなんだよ」。おお、おれもだよフレッド。本編ラストに披露されたのは、“フェイス”だ。この最高に馬鹿げていて最高に泣けるカバー曲をCD店で試聴して、僕はリンプ・ビズキットという聞いたこともない名前のバンドのデビュー・アルバムを、輸入盤で買ったのだ。アンコールの“テイク・ア・ルック・アラウンド”、“ローリン”、“フル・ネルソン”の3連打に関しては、皆さんにご想像頂いたとおりの光景で間違いないと思う。あの頃のままの、無敵の悪者リンプ・ビズキットが、まるでヒーローみたいな顔をして、後楽園に立っていた。(小池宏和)

1.Hot Dog
2.Show Me What You Got
3.Livin’ It Up
4.Eat You Alive
5.My Generation
6.My Way
7.Break Stuff
8.Boiler
9.Nookie
10.Behind Blue Eyes
11.Faith

アンコール
12.Take A Look Around
13.Rollin’
14.Full Nelson
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