今年7月22日――1stフルにして決定打といえるアルバム『ACTION!』をリリースし、意気揚々と全国ツアー「SteadyRock vol.5 ~RE-ACTION! TOUR 2009~」に繰り出したROCK’A’TRENCH。しかし、その序盤でメンバーの河原 真(B)、豊田ヒロユキ(G)、オータケハヤト(Dr)が揃ってインフルエンザに感染してしまい、泣く泣く数ヵ所を延期せざるをえない憂き目に……(オータケは41度の発熱が続いて、福岡のホテルに約1週間カンヅメだったそう! 山森曰く「部屋のドアを開けると、もわもわドクロ・マークが飛び出してきた」と・笑)。静養を経てすっかり完全復活を遂げ、リベンジに燃える5人が10月2日の振り替え公演として赤坂BLITZに登場。「一度延期しての振り替え公演だからね。みっちりリハもしたし、“倍返し”で参ります」と山森がブログに意気込みを綴っていたが、まさにその言葉どおり、たっぷり2時間以上、トータル19曲を披露し、この日を待ちわびたオーディエンスの期待を数倍も上回る熱演を見せてくれた。
「ワッツ・アップ? イケるか、アカサカ!? アガってく準備できてますか~!?」(山森)と、1曲目「JUMP STAR」からバンドのテンションは最高潮。フロアを埋め尽くしたオーディエンスをひとり残らず高揚の最中へと引き連れていく。続く「真夏の太陽」では会場中のタオルがぐるぐる旋回! さらにスカ・ナンバー「higher」のリズムに乗ってみんなのハンズが上下にバウンス! 「赤坂!BLITZ!」とコール&レスポンスも盛大に(いつのまにか「赤坂? ムリっす!」に変わってたけど・笑)、巧みな山森の先導のもと、BLITZはスタート直後から大フィーバーとなったのだった。
「とある事情により1ヶ月の時を経て、不死鳥のようにやってまいりました、ROCK’A’TRENCHです! この日ほど待ち望んだライブないです。今日のテーマは倍返しで、いや、3倍?……4倍返しでいきたいと思います!!」と、1stブロックを終えて山森。その後のジャム・セッションではメンバー紹介が行われ、河原、豊田、オータケ共に弾けるような笑顔を見せていた。「一個だけ言っとくと、今日サイコーに調子いいです!」と豊田も完全復活をアピール。その直後に思っきり噛んでたけど(笑)、コンディションは万全だ。
中盤にはスペシャル・コーナーとして、山森がキーボードをプレイ。プリンセス・プリンセスの「M」(懐かしっ!)をちょろっと弾き語りつつ、バンド・セクションと共に「コトノハ」→「Secret of the night」を伸びやかに歌い届け誰しもを魅了した。個人的なクライマックスとしては、中盤にアコースティック・ギターを交えてプレイされた「Every Sunday Afternoon」が、リラクシンかつ説得力に満ちていて、最後の大サビでは場内にミラー・ボールの光が瞬いてめっぽう良かった! 後半、畠山がショルキー(ショルダー・キーボード)を弾き鳴らし、バンド一体となった骨太グルーブで届けた「ヒートアイランド」→「Night and Day」のフェーズも思わず身体を揺らさずにはいられない至福の瞬間だった。
終盤には、山森がちょっとシリアスにMC――「ライブを延期してしまったのは本当にショックで。その日のために予定を割いて、地方から来てくれようとした人もいるかもしれないし……どんな言い訳も言い訳にならないと思うし、プロとしてどうなんだって自分でも思うけど、みんなホントに温かい言葉をかけてくれて。振り替え公演にもこんなたくさん来てくれて、音楽やってて、音楽を信じててホントよかった。ありがとう!」。その真摯なメッセージに、フロアから温かい拍手が贈られた。
アンコールではサプライズも用意されていて、「Don’t Stop The Music」で呼び込まれたのは敬愛するミュージシャンであり事務所の先輩・ウルフルケイスケ! 豊田とケーヤンとでギター・バトルも繰り広げ、この日いちばんと言えるクライマックスを演出した。「一緒に風を起こしてくれるかい!?」と、ラストは鉄板ソング「砂の風に乗って」で大合唱&大団円。残す高知→高松→名古屋の3本も、きっと絶好調でキメてくれるはず!(奥村明裕)