POLYSICS @ 日本武道館

POLYSICS @ 日本武道館 - pic by 古溪一道pic by 古溪一道
POLYSICS @ 日本武道館 - pic by 三吉ツカサpic by 三吉ツカサ
POLYSICS @ 日本武道館 - pic by 三吉ツカサpic by 三吉ツカサ
POLYSICS @ 日本武道館 - pic by 三吉ツカサpic by 三吉ツカサ
POLYSICS @ 日本武道館 - pic by 古溪一道pic by 古溪一道
POLYSICS @ 日本武道館 - pic by 三吉ツカサpic by 三吉ツカサ
『POLYSICSメジャーデビュー10周年スペシャルライブ!! ~BUDOKAN OR DIE!!!!~』と銘打たれた記念ライブであり、かつカヨ在籍時最後のライブとなる初の日本武道館ワンマン。
3回のアンコールを合わせて全42曲、ほぼ3時間、しかも「クールダウン」とか「ひと息」みたいな時間ゼロ、全編これ全力疾走みたいなライブ。今のポリのできる最高のものを、今のポリが持っているすべてのものを、吐き出し、たたきつけ、見せつけ、体感させる、もう本当にベストとしか言いようのないライブだった。二度目のアンコールで出てきた時、ハヤシは「まじで最高のひとことに尽きます!」と叫んだが、即日ソールドアウト超満員のオーディエンスも、みんな、まったく同じ気持ちだったと思う。
なお、昔、下北沢CLUB Queのポリ初ワンマン、僕は観ているんだけど、その時は40分で終わりました。4.5倍になったわけです。

ただ、正直、この武道館、楽しみにしていたと同時に、ちょっと心配もしていた。カヨちゃんがこれで卒業なのは、もう納得した、しょうがない。ただし、そのことによって生まれるであろう、感傷とか、お涙とか、切なさとか、そういうウェットなものとポリって、大変に食い合わせ悪いんじゃない?と、思ったからだ。
そもそもポリとは、「歌詞で共感」とか「そのメッセージ性や人間性に思い入れ」みたいな音楽への接し方を、きっぱりと切り捨てたところから始まっているバンドだからだ。「そんなんいらない。だって俺、音楽をそんなふうに聴いてないもん。もっとぶっとんでて、かっとんでるものとして聴いてるもん。で、そっちのほうが絶対にかっこいいんだもん」というハヤシの思想を、そのまんま具現化した音楽をやっているからだ。
で、そういう「共感」とかって、普通、ロックやポップスが世に伝播していく上で、すごく大事な要素であって、それを使わないってことはものすごく不利なわけで、だからデビュー後さんざん苦難の道を歩んできたわけで、それでも頑なに貫いたわけで、それで武道館まで到達したところが本当にすばらしいと思うわけなんだけど、であるがゆえに、今日、どうすんのかなあ。ステージで泣かれてもなあ。と、つまり、そういうふうに心配だったわけです。

現に、開演時刻の17時30分を5分過ぎたところで客電が落ち、“サニーマスター”“BUGGIE TECHNICA”のおなじみ2連発でスタートした時、正直私、うるっときかけました。しかし。6曲目“Digital Coffee”までを駆け抜けて、1回目のMCタイムになって、ハヤシが「トイス!」と連呼しだした頃には、その「うるっ」、完全にどっか行っちゃっていた。
出音、プレイ、グルーヴ、パフォーマンス、それらのすべてが、僕が観てきたこれまでのどのポリよりも、すばらしかったからだ。それこそ渋谷CLUB ASIAみたいなフロアに200人しか入らないハコでも、COUNTDOWN JAPAN幕張のEARTH STAGEみたいに20000人規模のステージでもポリを観たことがあるけど、それらのどの時よりも、「うわ、すっげえ音! こんなにいいバンドだったっけ!?」と、本当に思った。特にヤノ。明らかに、これまで観たどのヤノくんよりも、いいプレイをしていたと思う。
スカパラと並んで「この国で最も『フェスの時とワンマンの時の境目がない客』」であるオーディエンス、特にオールスタンディングのアリーナのみんなが、そのポリの全力のステージに、さらなる全力で応えるので、ステージの上の温度、さらにどんどん上がっていく。
ステージ後方の8面LED、すさまじい台数のカメラが入っていてすごい勢いで切り替わるステージ映像(DVDになるからだと思うが、にしてもすごかった)、照明、特効などの各種演出も、すばらしいし、金と手間ヒマがかかっているが、「あくまでバンドのパフォーマンスが第一、演出はその従属物」という世界観で構成されているのもいい。

そしてハヤシ、すんごいテンションなんだけど、後先考えずにつっ走っている感じではない。始まって2,3曲で、あっという間にツナギが汗で変色し、「ああ、これ、終わったらそのまま倒れて動けなくなるわ」と思わせるステージ、過去に何度もあったけど、そういう危なっかしいムードではない。もっとたくましくて、堂々としていて、タフなオーラを放ちながら、ステージに立っている。
全アルバムからよりすぐられた代表曲に加え、こないだのベスト盤に入っていた新曲、 “White Snake”が初めてライブでプレイされるというサプライズもあり。“POLYSICS OR DIE!!!!”では、ヤノがハンドマイクで前に出てきて、ステージ左右に伸びた花道を激しく移動しながら、そして「2階!」「1階!」「アリーナ!」と呼びかけながら(何故だか1階だけやたら回数が多かった)「P・O・L・Y・S・I・C・S」のコール&レスポンスを行う、という、これまで観れなかったし今後も観られないであろうパフォーマンスもあり。サビ(っていうのかなあれ。カヨちゃんがリコーダー吹くとこね)で回転するハヤシに合わせてフロアも回るのがおなじみの“I My Me Mine”で、ハヤシのアオリでアリーナですごいサークルモッシュが巻き起こったのも壮観だった。

本編2時間ぴったりが、まるで30分に感じるようなスピード感のまま終了。アンコール1曲目、“AT-AT”では、ハヤシがショルキー(ショルダータイプのキーボードね)を持ってちょっと弾き、それをカヨに渡す。カヨ、弾きながら花道左右に移動、お客さんにあいさつ。そのまま、 “ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ”“カジャカジャグー”“シーラカンス イズ アンドロイド”“Shout Aloud!”という、まるでフェスの時みたいなキラー・チューンの連打で、一度目のアンコールは終わった。

ここまではよかった。が、二度目のアンコールの1曲目、“NEW WAVE JACKET”に突入する前の、ハヤシのこのひとことで、忘れていた感傷が、戻ってきてしまった。

「カヨ、10年後の20周年の時、また、この曲歌いに来てくれよな!」

いや、武道館全体が感傷に包まれたわけではありません。私個人の話です。でも、この曲と、続いて“Baby BIAS”を歌うカヨちゃんを観ながら、ああ、こうしてこの曲を歌うカヨちゃんを観るの、これが最後なんだよな、これ2曲ともポリにとってすんげえ大事な曲だけど、今後どうするんだろう、っていうか、ここまで観てきた、“BUGGIE TECHNICA”のヒットラーみたいなアクションも、“Young OH! OH!”の「ウ! ア! ウッウッア!」の振付も、“ピーチ・パイ”のボンボン振って片足ケンケンで踊るのも、“カジャカジャグー”の髪振り乱して変則ヘッドバンギングも、すべて「カヨありき」のパフォーマンスなわけで、うわあ、これ、ポリにとっては痛い卒業だよなあ……。
と、最初にカヨちゃんがやめると知った時に思ったことであり、今ここで考えなくても全然いいことが、脳裏をよぎり始めてしまったのだった。もんのすごいテンションのステージを観ながら、正直、もんのすごいしんみりしてしまいました。

ただし。ポリは、そういうふうにはならなかった。三度目のアンコールで出てきて、客席をバックに記念写真を撮り終え、ハヤシ、オーディエンスとスタッフにお礼を述べる。そして、
「カヨ、本当にありがとう! せっかくだから、最後になんかひとこと」
と、うながす。うわ。ここで初めて、素でしゃべられたりしたら、ちょっとやばいなあ。と思ったんだけど、カヨちゃん、ボイスチェンジャーを通して、
「イママデ、アリガトウ。I LOVE POLYSICS」
というひとことで終えた。つまり、ちゃんと最後まで、POLYSICSのカヨであることをまっとうした、ということだ。
そのまま“BLACK OUT FALL OUT”をぶちかまし、シメにポリのテーマである“BUGGIE TECHNICA”をもう一回プレイして、すべてが終わった。花束を受け取り、メンバーと一緒に、ステージ左右の花道の端まで行って、お客さんに挨拶をするカヨちゃんを見ながら、勝手にウェットになっていたのが、恥ずかしくなりました。

これ、ある意味、POLYSICSの解散ライブなんだ、と思った。で、新しいPOLYSICSに生まれ変わるんだと思った。
って、いかにもありがちな書き方だけど、でもそうだと思う。さっき書いたみたいに「カヨありき」で成立していた曲、いっぱいあるわけだし、物理的な意味で、これまでのフォーマットじゃやっていけないので、生まれ変わるしかないし。
で、それって大変だし、ピンチっちゃあピンチだけど、同時にチャンスでもあると思う。
とにかく、これからどんなポリになるか、楽しみにしています。(兵庫慎司)

1.サニーマスター
2.BUGGIE TECHINICA
3.PLUS CHICKER
4.FOR YOUNG ELECTRIC POP
5.each life each end
6.Digital Coffee
7.Beat Flash
8.XCT
9.ワチュワナドゥー
10.ウィーダー
11.Shizuka is a machine doctor
12.Modern
13.White Snake
14.人生の灰
15.Nice
16.Eye Contact
17.催眠術でGO
18.Fire Bison
19.POLYSICS OR DIE!!!!
20.I My Me Mine
21.COLON
22.Code4
23.P!
24.Tei! Tei! Tei!
25.E.L.T.C.C.T.
26.United
27.URGE ON!!
28.Rocket
29.Young OH! OH!
30.Pretty Good
31.Speed Up
32.Boys & Girls

アンコール1
33.AT-AT
34.ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ
35.カジャカジャグー
36.シーラカンス イズ アンドロイド
37.Shout Aloud!

アンコール2
38.NEW WAVE JACKET
39.Baby BIAS
40.Electric Surfin' Go Go

アンコール3
41.BLACK OUT FALL OUT
42.BUGGIE TECHINICA
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする