ザ・クリブス @ 恵比寿リキッドルーム

このバンドのライブを観るとき、私はいつも「遺伝子の神秘」に感じ入らずにはいられないのです。藪から棒に何を言い出すんだ?という話だと思うので少し説明すると、ザ・クリブスは英ウェイクフィールド出身の3ピース・ギター・バンド。ギターとベースのツイン・ヴォーカルが双子の兄弟で、ドラムが末っ子という布陣。つまり3兄弟からなる完全同族バンドなのです。本国ではインディー玄人筋からも年若なキッズからも等しく愛されている若手筆頭ギター・ポッパーで、彼らの硬軟自在な楽曲センス、アンセミックなライヴ・パフォーマンスは共に高く評価されています。

彼らのライブヴの何が凄いって、3兄弟のどんぴしゃな「呼吸」である。けっして演奏スキルが高いわけじゃない。結構走るし、たまにもたつくし、がたぴしと軋むローファイな味わいが彼らのパフォーマンスの基本であることは間違いない。でも、走ろうがもたつこうが3人のアンサンブルは絶対に崩れないのだ。まるでテレパシーで交信しているみたいに3人の緩急は常に一定していて、まるでひとつの楽器のように、いや、まるでひとつの生き物のように自在にステージ上を走り回るのである。

しかも、性格もルックスも服装のセンスも全く似ていないのに、声質だけは全く一緒な双子のツイン・ヴォーカルの掛け合いはミラクル!の一言。全く同じ声なのに小まめにスイッチングしながら歌う様は無意味なようで実に楽しいし、基本シンプルなユニゾンで2人が声張り上げるサビの膨らみは、クリブスならではの醍醐味だ。
全曲名曲の20曲を一気に駆け抜けトータルタイムは僅か1時間10分。ラストは超定番の“WRONG WAY TO BE”で、サッカーの応援歌みたいな祝祭ムードを持つ本曲(歌詞は結構辛らつなんだけど)で場内の盛り上がりも見事極点を記録。いやぁ〜クリブスのライヴは何度観ても楽しい! イギリスにも日本にもサポーター体質のダイハード・ファンが多いのも納得である。前回来日の渋谷クアトロはスカスカだったのに、今日の恵比寿リキッドルームはびっしりのフルハウス! この2年間で一気にファン層が膨らんだようで、クリブスの極東応援団を自負する筆者としてもサポーター冥利に尽きる一夜だった。

というわけで、最後は彼らの応援団として宣伝させてもらいます。今からでも遅くはありません。あなたもクリブスに出会ってみてください。キュートな1枚目もカラフルな2枚目もパワフルな3枚目も全部おすすめ、このバンドは本当にハズレ無しです。ぜひ!(粉川しの)
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