ザ・ハイアー @ 渋谷クラブクアトロ

エモ・ディスコというキャッチフレーズで、老舗パンク・レーベル=エピタフよりデビューしたザ・ハイアー。2000年代のユース・ミュージックとなったエモを基調に、出身地ラスベガス譲りのショービズのキラメキを感じさせる、そんな新人である。待望の初来日公演が実現したわけだが、会場に入ると女子が圧倒的多数。しかも若いんだ、これが。

まず最初にオープニング・アクトとして登場したのは、REDISCOVER。SCENES FROM A MOVIEがヴォーカルの脱退により急遽来日中止になってしまったことによるビンチヒッターだったのだが、モーション・シティ・サウンドトラック以降のキーボード・サウンドを軸にオーセンティックなエモを人なつこっく鳴らすバンドで、会場の雰囲気を自然に掴んでいく。ヴォーカルの子なんかはいかにも普通のアメリカ人の若者という感じなのだけど、そんな彼らが日本のステージを踏むというのが今のエモのリアルである。

一方、ザ・ハイアーは評判通りの粒揃いのルックスで、登場したときから眩しさ爆発。特にブロンドのロングヘアーを持つヴォーカルのセスに対する黄色い歓声がすさまじい。1曲目は“ロック・マイ・ボディー”。そして、そこに続くのが“ウェポンズ・ワイアード”。グルーヴィーなハイ・テンション・ナンバーをのっけから2連発である。エピタフということもあって信頼していたが、演奏のスキルは素晴らしい。全員しっかりとバランスがとれていて、リズムの安定感も抜群。それと目を見張ったのは、スローナンバー。エイコンの“ドント・マター”のカヴァーなんていうものもやっていたのだけど、セスは堂々と歌い上げていて、様になっている。その存在感のために、どうしてもルックスやエモっぽさに光が当たるが、この5人かなりの技の持ち主である。

そうした新人ならぬ安定感はショウが進んでも衰えることなく、後半ではイン・シンクのカヴァーも披露。もちろん、最後は日本でも話題を呼んだシングル“インシュアランス?”。この日最高の盛り上がりを見せ、セスはショウの最後で客席にダイヴ。女性が多くを占めるオーディエンスは受け止められず、もろに落ちてしまっていたのだけど、大丈夫だったかな?(古川琢也)
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