サンボマスター @ 新木場スタジオコースト

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最高のステージだった。「泣いた! 今日は泣いた! 今日は恐ろしいくらいのライブでした。ありがとうみんな。これくらいすごいのは……なかなかないね!」とアンコールで思わず山口隆もこぼすくらいの、壮絶なる情熱のバトルフィールドと呼びたいくらいの熱狂空間。開演SEのゴダイゴ“Monkey Magic”が流れた瞬間からフロア狭しと拳が高く突き上がり轟々と歌声が渦を巻き、「SMA(事務所)の徳山くんが『いや山口さん、ゴールデンウィークは人入んないですよ。他にどんだけイベントあると思ってんですか? しかもあなた(新作の)リリースしてないでしょ?』って。でも俺は『いや徳山くん、スタジオコーストだけはやらしてくれ!』って言って。そしたら……スタジオコースト、すぐ売り切れてしまいました!」「ケガすんなよ! 僕らのライブも女の子が多くなりました。女の子にケガさせるなよ! 素敵な出会いを作ってください! 『ケガしない・させないツアー2012』でやっておりますのでね(笑)」「ゴールデンウィーク最後の日に、奇跡のロックンロールの時間ですよ! ロックンロールの準備はいいですか!」とここまで演奏前にあの名調子でべらべらっとしゃべり倒した時点で、スタジオコーストの歓喜と熱量は沸点を超え、山口/近藤洋一/木内泰史のソリッドな爆音が響き渡り山口の熱唱が空気を震わせ始める頃には、会場丸ごとあっさり揺さぶるほどの巨大なソウルとロックンロールが生まれてしまっていた。

サンボマスター @ 新木場スタジオコースト
4月6日・札幌ペニーレーン24公演からスタートして全国7都市を回る今回のツアーは、自ら『蕎麦屋の親父に聞きました!「サンボマスターの新曲まだですか?」「さっき出た所です」ツアー2012!』と命名した通り、昨年2月のシングル『希望の道』(と、山口作詞・作曲の猪苗代湖ズ“I Love You & I Need You ふくしま”)以降、本当に久々の新曲お披露目の場である。まだツアー・ファイナル=5月12日:大阪・なんばHatch公演を残しているのでセットリストの詳細は割愛するものの、アンコール含め約2時間半に及ぶライブの半分以上を魂のアンセムたるシングル曲で固めたところに、待望の新曲群と、アコースティック・コーナー(近藤アコースティック・ギター&木内カホン、山口は「俺はエレキが好きだからこのままやらしてもらいます」とエレキギター担当)を織り込み、「ここにいる、ぎゅうぎゅうの2500人よ! お前1人が欠けても、宇宙一のロックンロールにならねえんだよ!」「この期に及んでまだ恥ずかしがってるやつがいる! お前らゴールデンウィーク恥ずかしいまま終わってんじゃねえぞ!」「この1時間2時間の話じゃねえぞ! 生まれてこのかたの、死ぬまでの君たちを鳴らしてえのよ。君たちの一生を、俺たちに鳴らさしてくれよ! そんで、君たちも鳴らしてくれよ!」という山口の速射砲のような煽りをこれでもかと過積載し、超満員のオーディエンスとともにロックンロールの彼方へとぶっ飛んでいくような、途方もなくエモーショナルな一夜だった。

サンボマスター @ 新木場スタジオコースト
何より、「公約通り、新曲やらしてもらいます!」という言葉とともに鳴り響いた新たなサンボマスター・マスターピースが、この日のライブによりいっそうの輝きと迫力を与えていた。中でも、「震災で失われた命」と「今を生きる『残された僕ら』」の意味と真摯に向き合い、静謐な歌を紡いでみせた“あなたのことしか考えられない”は、熱気に満ちたこの日のアクトの中でも強い存在感をもって響いていた。「あの日から1年経って……震災の後、曲を作ろうと思って。政治的なこととかもいろいろ考えて……でも、考えれば考えるほど、いなくなっちゃった人のことばっかり浮かぶんだわ。それしか考えられないんだわ。いろんな選択にYESとかNOとかよりももっと、俺はいなくなっちゃった人のことを歌いたかったのよ。いなくなっちゃった人と、残された君たちのことを歌いたかったのよ。いなくなった人に『I Love You』って歌っていいかい? 残された君たちにも『I Love You』って歌っていいかい?」。そんな言葉に続けて、近藤のアコースティック・ギターの調べに乗せて山口が《神様 僕にあの人を返しておくれよ》と切実な想いを歌い上げていく……歌い終えた後、顔を伏せ、静かにピースサインを掲げる山口。その姿に、思わず胸が熱くなった。

自分たちは故郷・福島のことを想って歌うけど、みんなはこの歌の向こうにみんなのふるさとのこと、愛する人のことを想ってくれ――“I Love You & I Need You ふくしま”を歌う前に、山口はそう言っていた。ありったけの誠実さと純粋さと愛情と不屈の精神をロックンロールに託し、ロックンロールを心の底から信じ続け、ひたすらロックンロールを奏で続けてシーンに風穴を開け王道をこじ開けたサンボマスター。危機に直面している故郷への想いを通して、混沌とした2012年の日本に生きる1人1人の心とよりダイレクトにつながるための彼らの「その先」の闘いの形が、この日披露された新曲のみならず、未曾有の狂騒と空を割る勢いの壮大なシンガロングを生み出した“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”“できっこないを やらなくちゃ”など既発アンセムの極限爆発ぶりにも結実していた。

サンボマスター @ 新木場スタジオコースト
「あれから1年経って、日本中しっちゃかめっちゃかになっちゃった。だけど、ロックンロールが死んだとは思ってねえ。日本中がしっちゃかめっちゃかになったって、『あの娘が好きだ』って歌ってもいいはずだ! 君たちの名前はロックンロールっていうんだろ? ロックンロールは死んだのか?」という胸張り裂けんばかりのメッセージと衝動を爆裂ロックンロールの疾走感に重ね合わせてみせた新曲“ロックンロールイズノットデッド”が、フロアのむせ返るような熱気と共鳴し合って、どこまでも感動的な風景を見せていた。終始クラップと大合唱とダンスがあふれ、曲ごとにでっかく揺れるフロアに向けて「美しさは君たちにあるんだ! 希望は君たちにあるんだ!」と喉も裂けよとばかりに叫んだ山口の言葉はリップサービスでも何でもない。この場に渦巻くエネルギーこそが僕らの生きている証に他ならない……ということを、この音に触れた者すべてに向けて証明して回るための闘争宣言だ。この日の3人の爆演ぶりが、そのことをリアルに物語っていた。この日発表された新曲は計4曲。そのリリースの発表を、今はただただ心待ちにしている。(高橋智樹)
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