ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン @ LIQUIDROOM ebisu

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン @ LIQUIDROOM ebisu - all pics by Yoshika Horitaall pics by Yoshika Horita
2月6日に4作目となるアルバム『テンパー・テンパー』をリリースし、その発売を記念して、<RIOT IN TOKYO 2013>と題して、3年ぶりの来日を果たしたブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン。会場となったのは、恵比寿リキッドルーム。フロアに入ると、ステージのには最新作『テンパー・テンパー』のアルバム・ジャケットが描かれた大きなバックドロップがかけられている。貴重なプレミア・ライヴとあって、当然のことながらソールド・アウト。ロイヤルなファンがびっちりフロアを埋めている。

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン @ LIQUIDROOM ebisu
ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン @ LIQUIDROOM ebisu
開演予定時刻を少し回った19時14分、客電が落ち、ステージ前方の照明が客席を照らし出す。そして、大音量でかかる“カルミナ・ブラーナ”。フロア中の腕が上に上がる。瞬間沸騰というか、この時点でフロアの熱量は最高潮になっている。そして、ステージに次々と姿を現すメンバーたち。トレードマークと言える長い髪を切って、リーゼント風になったマットを初めて肉眼におさめる。始まった1曲目は、最新作の冒頭を飾る“Breaking Point”。アルバム・リリースから約1ヶ月しか経っていないわけだが、ベースのジェイソンのスクリームに合わせて客席からは手が上がり、ブリッジではシンガロングも巻き起こる。始まってまだ数分も経っていないこの時点で、このバンドがいかに愛されているかが分かる。曲が終わると同時に、客席中の手が万感の思いとともに上がる。「俺らのBFMVが帰ってきた!」、そんな言葉が聞こえてくるような、そんな光景が広がる。

2曲目は、前作『フィーヴァー』から“Your Betrayal”。イントロのマーチング・ビートに大きな歓声が上がり、コーラスに突入すると、マットは飛べというように客を煽る。それに応えるようにフロアは上下に揺れ、早くもクラウドサーフィンが巻き起こる。この曲が終わったところで、一旦MC。日本に戻ってくるまでに長くかかってしまったことに触れ、次の曲を告げる。そうして演奏されたのは、最新作『テンパー・テンパー』から“Saints & Sinners”。タメの効いたミドル・テンポのイントロから、一気にBFMV節へと突入していく。この曲でもベースのジェイソンのスクリームに合わせて手が上がり、シンガロングが巻き起こる。しかし、ここまでの3曲の時点で3年ぶりに観たBFMVは、演奏力においても進化を遂げているのが分かる。ムースの切れ味鋭いドラムも、飄々とした佇まいで高速ソロをきっちりと弾き上げるパッジのギターも、以前観たときより安定感が格段に増している。ましてや彼らにすれば、このサイズの会場なんて余裕というものだろう。

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン @ LIQUIDROOM ebisu
ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン @ LIQUIDROOM ebisu
ライヴの定番曲として長年愛されてきた“4 Words (To Choke Upon)”、最新作のタイトル・ナンバーにしてリード・シングルだった“Temper Temper”を挟んで、この日のハイライトの一つとなったのが“Last Fight”。最初はマット一人による弾き語りで披露し、もちろんオーディエンスは大合唱。そのまま、3人のメンバーが加わってバンド・サウンドへ突入していく。かつてジューダス・プリーストやアイアン・メイデンを引き合いに、UK出身のメタル・バンドが持つ叙情性が指摘されたことがあったが、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインもまさにその系譜に連なることを、この曲は教えてくれる。スクリームの使い方など、現代的なメタル・バンドとして確固たる地位を築いた彼らだが、起伏の強いコード進行も含めて、このバンドの根っこにあるのは、そうしたオーセンティックなメタル・バンドの遺伝子だ。

ライヴでやるのは久しぶりであり、日本のオーディエンスのために演奏された“The Poison”、最新作からの一大ハード・ロック・バラード“Dead to the World”、パッジのギター・ソロを挟んで、ライヴは終盤戦。ベースのジェイソンが呼びかけて客席から多くの手が挙がり、マットが「トキオ!」と叫んだ“Scream Aim Fire”、マットのライトハンドによるイントロで始まり、ギター・ソロもマットからパッジへと受け渡されたドラマチックなナンバー“Alone”、そして、本編最後は“Truth Hurts”。事前に配られたセットリストでは、最後の2曲は“Pleasure and Pain”と“Leech”と記されていたのだけど、現場でセットリストを変え、一分のスキもない鉄壁の演奏を見せつける。そこはやっぱりブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインである。

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン @ LIQUIDROOM ebisu
フロアからの声が鳴り止まないなか、ステージに登場した4人、アンコールの1曲目として演奏されたのは“Waking The Demon”。マットの「Are you ready?」という呼び掛けを受けて、即座にサークルピットが出来上がり、そこにこれぞBFMV節というリフが投下される。そして、最後に演奏されたのは、ファースト・アルバムの大名曲“Tears Don't Fall”。正直、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインのディスコグラフィーを考えると、なんであの曲はやってくれないの?、なんでこの曲はやってくれないの?と思わないでもないが、その理由は“Tears Don't Fall”の後に明かされた。1時間強というBFMVにしては短いセットリストとなったこの日のライヴを終えて、マットが最後に言ったのは「See you at Summersonic,baby」という一言。最新作『テンパー・テンパー』を完成させ、更に大きくなったブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインは、この夏、サマーソニックで再び日本に戻ってくる。(古川琢也)

セットリスト
Breaking Point
Your Betrayal
Saints & Sinners
4 Words (To Choke Upon)
Temper Temper
The Last Fight
The Poison
Dead to the World
Scream Aim Fire
Alone
Truth Hurts
(encore)
Waking the Demon
Tears Don't Fall
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