出演者/来場者が口を合わせたように「最高だった!#ロコダスト6」とツイートしまくっていたように、locofrank、HAWAIIAN6、そしてdustboxによる三つ巴のスプリット・アルバム『THE ANTHEMS』のツアーファイナル@Zepp Tokyoは、本当に最高の祭りだった! 現代メロディックシーンの主軸たる3組が一堂に会するとあって、フロアは早くからキッズで埋まり、バックステージには大勢のバンドマンも駆けつけて、まさにZepp全体がひとつのお祭り会場のよう。
「全部出し切っていこうぜ今日は!」「コケんなよ! 伝染するから!」と共演者から容赦ないガヤを浴びながらステージに向かったトップバッター・dustboxは、冒頭の“Right Now”からトップギアで疾走。さらに“Break Through”“Betty”と畳み掛ければ、フロアには無限増殖的にクラウドサーフが勃発。「やるじゃないか! もっと行けるよな!?」となおもSUGAがアジって、バンドとキッズ双方がエモーションを全開にした壮絶な肉弾戦が展開されることとなった。7月3日にリリースされたばかりのニューアルバム『Care Package』から、「君は弱くなんかない! 自分に正直に生きよう!」(SUGA)と“Riot”も披露。Reijiという超高性能ビートマシーンを原動力として、SUGAとJOJIがメロディとグルーヴの両翼を広げて熱狂の果てへと駆け上がっていく様は何しろ爽快かつ流麗。終盤は息切れするどころか、さらに熱量を高めて「終わりたくない! 終わりたくないって気持ちをブツけます!!」と“Tomorrow”、さらに「3バンド、9人のこれからと、ここにいるみんなに……自分を信じて行けー!!」と最終曲“Jupiter”ではSUGAが渾身のダイブ! 共演者にプレッシャーをかけまくる快演で3人は舞台を後にした。
2番手・locofrankは「明日の仕事、学校に影響あるくらいハデに行こうぜ! アーユーレディー!?」(木下)と、いきなり伝家の宝刀“START”を投下! 瞬く間にフロアが沸き返るなか、間髪置かず『THE ANTHEMS』収録の“Before It's Too Late”へと繋ぎ、骨太かつ気合いに満ちたアンサンブルで激走する。“across time”では「もっと来いや!」とばかりに木下がマイクスタンドをステージ前へと持ち出して熱唱し、森と笹原もエモーションを爆発させるように激しいアクトを展開。どれだけ感情をブチ撒けようとも、今のロコにはアンサンブルの軸が一切ぶれない強靭な体幹が備わっていて、15年かけて一途に培ってきたバンドの地力を見せつける。Zeppが新宿ACBさながらの熱気に満ちあふれるなか、「アレか、体力残してんのか? そんなもんか東京?? 俺らの大阪の方が元気やったぞ!?」と木下がさらにふっかけて、“Truth And Changes”“Mountain range”とギアを上げて畳み掛け、「9月か10月くらいに俺らフルアルバム出します」(木下)と嬉しいアナウンスも! 「俺ら15年やってんねんけど、積み重ねてきたものを認め合って、こうやって手を握り合える仲間がいて、本当に嬉しく思います」(木下)とひとかたならぬ感慨を噛み締めながら、これぞlocofrankの真骨頂と言える闘志あふれるアクトでステージを締め括った。
時刻は午後8時40分、いよいよトリを飾るHAWAIIAN6がオンステージ。YUTAの激しいギターストロークが『THE ANTHEMS』のオープニングナンバー“In The Deep Forest”を奏で、立て続けに“LIGHT AND SHADOW”へと雪崩れ込んだ刹那、場内にはハワイアンだけが描くことのできる、光と闇を巡る独自のサウンドスケープが広がる。その後の“The Electric Wizards and the Lonely Humming Bird”では「遊ぼうぜ!」とHATANOが呼びかけてフロアに歓喜の輪が広がり、続く“WORLD”ではdustbox・JOJIがステージ袖からダッシュしてフロアへ! 「楽しんでもらえてる?」とのHATANOの問いかけには当然のごとく万雷の歓声が沸き起こり、「俺がワガママで言い出して、時間はかかったけどCD出せてよかったです」と3年ほどの年月を経て実現したスプリットへの想いを語り、「こんなCD、この先にもあったらいいんじゃないかと思ってます。最後まで遊びましょう、Zepp Tokyo!!」と血気盛んに呼びかけ、熱狂は天井知らずに高まっていったのだった。終盤も「この先に何があっても、音楽だけは忘れないでください。お前らが楽しむためのものだからな!」とHATANOは怪気炎を上げ、RYOSUKEも甲高いコーラスと激情的なパフォーマンスでフロアを煽動。キッズと歓喜をわかちあうようにYUTAは幾度もステージ最前線に歩み出て、“PROMISE”では腕を高々と掲げて盛大なシンガロングを巻き起こす。本編ラストの“ETERNAL WISH, TWINKLE STAR”に至るころには、場内のあらゆる雑念は吹き飛んで、ただ目一杯にこの瞬間を謳歌しようというめちゃめちゃ高純度な音楽空間が広がっていた。アンコールでも祝杯をあげるように“MAGIC”を響かせ、さらにWアンコールでは万感の“EVER GREEN”! 遂にはロコとダストもステージに乗り込んで、9バンド全員でシンガロング。熱いハグとハイタッチを交わし合うメンバーの笑顔は、思わず羨望の眼差しを向けてしまうほど少年のような純真さで輝いていた。音楽不況なんてどこ吹く風で、自ら風(というか熱風)を吹かせまくってこれだけの絶頂空間を作り上げてみせた3バンドを心から頼もしく思うし、欲を言うようだけれど、もっともっとでっかいムーブメントへと繋げていってほしい。月末に控える追加公演では、東北の地を熱く沸かせてくれるはず!(奥村明裕)
locofrank×HAWAIIAN6×dustbox @ ZEPP TOKYO
2013.07.04