BUMP OF CHICKEN @日本ガイシホール

BUMP OF CHICKEN @日本ガイシホール - All pics by KAZUMICHI KOKEIAll pics by KAZUMICHI KOKEI
この夏には記念すべき初のスタジアム・ライヴも行われたけれども、2枚のベスト盤や配信中のシングル“虹を待つ人”を携え、いよいよ全国ツアー「BUMP OF CHICKEN 2013 TOUR『WILLPOLIS』」に乗り出したBUMP OF CHICKEN。そのスタート・ラインとなるのが、愛知の日本ガイシホール2デイズだ。ここから福岡、神奈川、宮城、大阪、北海道、そして東京の日本武道館2デイズと、全国7箇所11公演のアリーナ規模のツアーを10月末までに駆け抜けてゆくことになる。この初日公演レポートでは、セットリストや演出の詳細については触れずに進めてゆくけれども、以下、少々の演奏曲表記を含む内容になっているので、閲覧の際はご注意を。

BUMP OF CHICKEN @日本ガイシホール
「ツアー『WILLPOLIS』へようこそー! 4人を代表して言わせてください。BUMP OF CHICKENは今まで何本もライヴをやってきたし、これからもやっていくんだろうけど、皆さんの、今日のこの組み合わせは、一生で一回きりです。だから僕らも、最初で最後のつもりで、全力で音楽を届けるんで、よろしくお願いします」。そんなふうにチャマこと直井由文(B)が意気込みを伝えていたとおり、ダイナミックで勢いに満ち溢れたナンバーは思い切りアップリフティングに、そして広大なアリーナ内に思いを広げていくナンバーでは、歌詞の一言一句、サウンドの一音一音を確かな手応えで残していくパフォーマンスが繰り広げられる。それでも、過剰な緊張感を強いることなく、オーディエンスが気持ちよく飛び込んでゆけるのは、BUMP OF CHICKENがこれまでに残した名曲群のひとつひとつを祝福するような、あたたかく解放的なヴァイブを伴ってステージが進められていくからだろう。 演出面も同様で、バンプ・ナンバー一曲一曲の内容の濃さに見合った、こんな凄い曲を本気で祝福し、演出するならこうだろう、というものになっている。つまり、一歩引いて見るともの凄い演出の連発みたいなことになっているのだが、映像も特別効果も不思議とこれが過剰さを感じない。バンプ曲の懐の深さを信頼した上での、遠慮のない華々しい演出となっている。今後の公演に参加予定の方は、いくら期待してもし過ぎることはないと思う。

BUMP OF CHICKEN @日本ガイシホール
藤原基央(Vo/G)が、ゆったりとギターを爪弾きながら「具合悪い人いませんかー? 急にボソッと喋ってびっくりした?」とアリーナ規模の距離感を一気に埋める言葉を投げ掛けながら「この曲知ってる?」と“ダイヤモンド”を歌い出したとき、メジャー・デビュー・シングルじゃないか、とびっくりしたのだけど、考えてみれば彼らはそれだけのキャリアを重ねてきたわけで、当時をリアルタイムに体験していない若いファンも多くいるわけだ。ベスト盤を携えてのツアーだからといって、間違っても新しいファン層を置き去りにする内容ではないし、真っすぐ向き合う姿勢に唸らされる。で、今からすると荒削りだけれど、勢いがあって、《上手に唄えなくていいさ いつか旅に出るその時は/迷わずこの唄をリュックに詰めて行ってくれ》という歌詞が、当時の彼らと今の彼らを一瞬にして繋げてしまうこの曲は、やっぱりとんでもない名曲だと目頭が熱くなった。

各公演で演奏曲は入れ替えられていくのかもしれないという手応えを感じたが、軽やかに披露された“かさぶたぶたぶ”や、増川弘明(G)の鮮やかなリード・ギターが響き渡って満場のコーラスを導く“虹を待つ人”など、ベスト盤収録曲に限らず近年の楽曲群までを見渡した選曲、その瞬間瞬間を楽しみ尽くすようなパフォーマンスになっている。何より、マイクを通じて言葉を発することはないけれど、アップリフティングなビートを担い、ときに歌に寄り添うように鳴らされる升秀夫のドラム・プレイにしても、飛び跳ねながらグルーヴをぐいぐいと牽引するチャマのベースにしても、そして歌心を共有する華やかなハーモニー・ワークにしても、「自由気ままに鳴らしたい音」ではなく「そこに鳴っているべき音」を常に追い求めて来た現在の4人のアンサンブルが素晴らしい。

BUMP OF CHICKEN @日本ガイシホール
今回のツアータイトルである『WILLPOLIS』が、どんな由来に基づくのかは分からない。けれど、今日の公演を観ると、BUMP OF CHICKENの歌/音楽の鳴るべき場所として、まさに歩んで来た道程が響き合って未来を指し示す『意志の集うべき所』、そんなふうに今回のツアーを思った。アンコールに応える場面で4人がオーディエンスをバックに記念撮影を行うと、チャマは「みんな、ういろうみたいにテッカテカになってる」と告げ、増川は「ツアー『WILLPOLIS』! 気持ちよくやらせていただきました、全国行ってきます!」と挨拶する。本編中のチャマの弁によれば、増川は本番前にきしめんを食べ、ちょっとギターを練習した後、もう1セットを完食したそうだ。ステージからの去り際、チャマがオーディエンスに敬礼のポーズを見せると、藤原はステージ下からチャマに手を振っている。これから各地で描き出されてゆく『WILLPOLIS』という空間、どうやらそれはもの凄く楽しい場所となりそうだ。(小池宏和)
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