エレファントカシマシ @ 日比谷野外大音楽堂

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エレカシ、完全復活!――そう素直に腹の底から叫びたくなるようなライヴだった。昨年10月、宮本浩次の左耳の外リンパ瘻のため、ライヴ活動を休止することを発表。恒例の日比谷野音公演も中止になってしまったが、その当日である10月14日に、宮本はステージに現れ、ファンに直接休止を報告し、数曲を披露した。あれから1年近く。同じ日比谷野音に、エレカシは戻ってきた。結成以来、ここまで長い休止は、彼らにとって初めて。それだけに、ファンの不安は相当なものだったと思う。この日のチケットはプラチナチケットと化し、会場をびっしりと埋めるオーディエンスに留まらず、外からその音を聴こうとする人たちもいっぱい。さらには全国各地の映画館で生中継も行われる中……その時はあまりにも自然に訪れた。

エレファントカシマシ @ 日比谷野外大音楽堂
開演時間の18時をまわったところで、何の前触れもなくふらりとメンバーが登場。慌てて立ち上がり、拍手するオーディエンス。そして始まったのは“優しい川”。一言一言を確かめながら歌うような宮本。オーディエンスも固唾を飲んで見守る。歌い終えたところで、ほっとしたような拍手と「エレカシー!」、「おかえりー!」、「ミヤジー!」といった歓声が起こる。ここで、やっとそういったリアクションが見られたところに、エレカシとファンの深い絆が表れていた気がした。早々に宮本の「ハロー、エブリバディ!」も炸裂。序盤はお互いに緊張しているような雰囲気もあったが、宮本は「一緒に盛り上がろうっていう曲です」と曲紹介をしたり、歌詞とシンクロした思いを伝えるようにオーディエンスを指したりと、一体感を求めていく。休止中に感じたファンへの感謝や、歌えることへの喜びが、そうさせたところもあるのだろう。

エレファントカシマシ @ 日比谷野外大音楽堂
肝心の歌だが、何の問題もない。「耳は良く聴こえるんですけど、ガードするために」とイヤモニは付けていたが、今まで以上に切実に、よりダイナミックな表情の付いた歌を響かせていた。その究極と思えたのが、荒井由実のカヴァー“翳りゆく部屋”。この人は素晴らしいヴォーカリストなんだ、ステージに帰って来てくれて本当に良かった、そう思わずにはいられない歌を聴くことができた。

お馴染みの蔦谷好位置(Key)とヒラマミキオ(G)というサポートメンバーを加えたバンドのグルーヴも絶好調。特に石くんこと石森敏行が金髪(というか黄色)の気合いのロングヘアーを振り乱しながらギターを弾きまくる姿は、復活を誰よりも喜んでいるのはメンバー自身であるということを象徴しているようだった。さらに、宮本が成ちゃんこと高緑成治のベースを取り上げて弾きまくる、彼ららしい自由奔放な場面も。砕けてきた宮本はMCでも、「最近は何処に行ってもカメラがあるのよ。俺は商売上仕方ないけど、家でポテトチップスぼりぼり食べてるとこ、見られたら恥ずかしいよねえ……面白くない? 俺はとっても面白い!」と独走していた。やっぱり、エレカシはこうじゃなくっちゃ! 

エレファントカシマシ @ 日比谷野外大音楽堂
そして、『ROCKIN'ON JAPAN』のインタヴューなどで宣言していた通り、新曲も4曲披露。特に、終演後に11月20日にシングルでリリースされることが発表された“あなたへ”は、渾身の名曲だった。今だから歌えるのであろう、命へと踏み込んだ歌詞は、ここにいる全ての人に向けたラヴソングのように聴こえてきた。

言わずと知れた“悲しみの果て”のようなヒットチューンから、ライヴバンドの帰還を感じさせた“ファイティングマン”まで、2時間半……「言いたいことはいっぱいあるけど、いっぱい人がいるから曲、曲歌います」という宮本の言葉が、この日の全てだった。復活早々に、こんなに長時間やって大丈夫!?なんて心配もしたけれど、それは徒労だった。時間が過ぎていくごとに宮本の歌は高らかに響き、バンドは迫力を増していった。開演前は泣いてしまうんじゃないだろうか?と思っていたけれど、マイクスタンドをすっ倒しながらぐいぐい前に出てくる宮本の様子を見ていたら、何だか笑顔になっている自分がいた。今のエレカシは、聴き手に宿る力を何倍にも膨らませてくれるような、破格のエネルギーに満ちている。何だか、ロックって凄い! エレカシって凄い!と、無我夢中で言い廻りたくなるような気持ちで帰路についた。

今後は、今日の日比谷野音公演、さらに10月の大阪城野音2Days、そして来年の1月にはデビュー25周年を記念した、過去最大規模のキャパシティのさいたまスーパーアリーナでのライヴが控えている。「今」のエレカシ、ロックが好きなら見て欲しい、絶対に。(高橋美穂)
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