2021年、ついにKing Gnuが動き始める!
変わり続ける世界に生きる人々のリアルと、生きることの尊さ――
強く儚い生命力を見事に描いた“泡”の神髄にロングレビューで迫る
文=小川智宏
主題歌となっている映画『太陽は動かない』の公開に合わせて3月5日に配信スタート、同日に公開されたミュージックビデオも1日で100万回再生を突破し、改めてこのバンドへの世の中の関心の高さを裏づけるバズを巻き起こしているKing Gnuの新曲“泡”。俳優/ダンサーの森山未來による身体表現と楽曲が絡み合い、まるで生命の根源にある衝動と激情を浮かび上がらせていくようなその世界観はまさに圧倒的で、観ている者をぐいぐいと引き込んでいく力を持っている。
もともと昨年5月に予定されていた映画の公開が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて延期になったという経緯もあり、おそらくこの楽曲自体も本来であればもっと早くリリースされるはずだったのだろう。King Gnuとしては昨年12月のシングル『三文小説 / 千両役者』以来の新曲であり、2021年最初のアクションとなったわけだが、それはあくまで結果論に過ぎないのかもしれない。だが、改めて楽曲を聴くにつけ、この曲が今このタイミングでリリースされることには強烈に運命的な巡り合わせを感じずにはいられない。King Gnuのアリーナツアー、そして常田大希のもうひとつのアウトプットであるmillennium paradeのアルバムを経て、世の中に問われるからこそ、この“泡”は大きな意味を持つと思えるからだ。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年5月号より抜粋)