【JAPAN最新号】SEKAI NO OWARI、“Habit”のすべてを語る。この新たなアンセムはなぜ今、時代の「背中」を撃ち抜くことができたのか? 実に2時間、徹底的に訊いた!

このリアクションがほしかった。嬉しいですよ、すごく嬉しい。
“RPG”でも“Dragon Night”でも“スターライトパレード”でもない、俺たちってこういう受け入れられ方をしたことないんですよね(Fukase)

現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号にSEKAI NO OWARIが登場!

“Habit”のすべてを語る。この新たなアンセムはなぜ今、時代の「背中」を撃ち抜くことができたのか?
Fukaseの本当の願い、予想の斜め上をいった勝利の理由、4人の胸中まで――実に2時間、徹底的に訊いた!

インタビュー=小栁大輔 撮影=Maciej Kucia


12年前、“幻の命”でデビューを果たして以来、セカオワには驚かされてばかりだが、“Habit”の見事なまでのヒットにもまた驚かされてしまった。曲を送ってもらって、「おいおい、Fukase、ずいぶん言ったなあ……」と苦笑いし、思い切り諧謔的にふざけまくった(しかし、異様なまでの統制感のある)MVを見て爆笑し、何度も何度もMVを観て、編集部員たちと「マジ最高すぎるよなあ」とゲラゲラ笑っていたら、世界もまた、ダークでシニカル、デンジャラスでアディクテッド極まりないこのポップソングを見事に見つけ、すっかり夢中になっていた。
「大人の俺が言っちゃいけないこと言っちゃうけど」と不敵に微笑んで、「説教するってぶっちゃけ快楽――でしょ?」と僕たちの心の底を看破してみせる、弾劾と確信のオルタナティブポップ、“Habit”。
誰より自由に世界を歩き回り、不文律と一般論を軽く飛び越えてきたセカオワはこうして今また、時代の心臓を――ただし、今回はその「背中」側から、不意に撃ち抜いてみせたのである。

ポップソングの精度というものが、不特定多数の無意識に輪郭を与え、潜在的欲望を瞬時に満たしてしまう、その速度にこそあるのだとしたら。
今、“Habit”こそが、時代の欲望が欲していた究極のポップソングだったということだろう。
僕たちはたしかに、いつか誰かにこう言い切ってほしかったし、いつか誰かにこの人間としての性(サガ)を言い当ててほしかった――のだと思う。
世界の内奥に隠された言いようのない理不尽、生きていくことのやるせなさ、拭えない悲しみ、妬み、他人を嘲笑し、自分の居場所を少しでも優位に保とうとするあさましき性――。
そんなものすべてを、Fukaseは、「自分」というひとりの人間越しに隠さず抉り出し、そしてそのうえで、「だからって、自分の可能性を否定する理由にはならないだろ?」と、「なんだってやってみりゃいいんだ」と僕たちのこの逡巡だらけの背中を、(Fukaseの言葉を借りるならば)足とお尻で、こっそり押している。
捻くれて捻れ切って、一周回ったギリギリのポジティビティを歌ったポップソング、“Habit”。
こんな最高としか言いようのない楽曲が、やはりこの4人の生き様から生まれてきたことが、僕は本当に嬉しくて仕方がない。

そんな新たな代表曲にして、異形のヒットソングについて、4人と実に2時間、思い切り語り合ってきた。(小栁大輔)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年7月号より抜粋)



『ROCKIN'ON JAPAN』2022年7月号
別冊JAPAN JAM 2022