現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号にあいみょんが登場!“初恋が泣いている”は自信作です。
“君はロックを聴かない”“マリーゴールド”“裸の心”と同じ匂いがした
有観客全国ツアーを回りながら思うこと、そして、今こそ見つけた「名曲」の定義――
最新ロングインタビューで迫るあいみょんの胸中、そのすべて
インタビュー=小栁大輔 撮影=川島小鳥
「あいみょん、最新インタビュー」なのは間違いないのだが、「最新インタビュー」というより、「最近の会話(音楽をめぐる)」というほうが近いような、あまりに素朴なテンポで話を訊いているなと我ながら思う。あいみょんインタビューに関しては多くの場合そうなのだが、読者にもあいみょんと温かい紅茶でも挟みながら対話をしているような、そんな気分で読んでほしいなと思っているので、これはこれで「正しい」のだろうなとも思う。あいみょんの楽曲はいつも新しい感動をもたらしてくれて、しかしその感動は新しさと同じだけ、懐かしさや切なさや、どこか馴染み深い場所を訪れた時にふと思い出す安心感のようなものも含んでいる。言い切るなら、それが「スタンダード」であるということなのだが、今回“初恋が泣いている”“双葉”という名曲を聴いていて、そのスタンダードに、鋭い角度、歌う対象をとらえる新たなファインダーが生まれたように感じる。“双葉”で言うならそれは「18歳」という季節を生きる若者へのメッセージとして、“初恋〜”で言うならば、メタ的でシュールに、文学的な妙味を突き詰めた切り口として結実している。すごいのは、その「新しさ」にはやはり、その斬新さと同じだけ、本質的で伝わりやすくて、世の中の真理を突くような、そしてこの素晴らしい歌を聴いている3、4分間だけは心の動きを素直に味わうことが許されるようなやさしさが備わっていることだ。あいみょんが作っている音楽は今日も、どこにもないほど斬新で、この胸に残る記憶を抱きしめてくれるようにやさしい。そんなスタンダードが生まれた場所を知りたくて、あいみょんの心の現在地を訊かせてもらうインタビューに、今回もなったし、なってしまった。(小栁大輔)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年7月号より抜粋)