【JAPAN最新号】Eve、そのライブ体験は、時の迷宮に捕われた我々を解放する。「Eve Live Tour 2022[廻人]」完全レポート!

【JAPAN最新号】Eve、そのライブ体験は、時の迷宮に捕われた我々を解放する。「Eve Live Tour 2022[廻人]」完全レポート!
現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号に「Eve Live Tour 2022[廻人]」の完全レポートを掲載!

そのライブ体験は、時の迷宮に捕われた我々を解放する。
「Eve Live Tour 2022[廻人]」完全レポート!

文=小池宏和 撮影=山川哲矢


「声とか出せなかったけど、本当に素晴らしい東京1日目でした。今日のことを忘れないようにしたいと思います」。ライブの終盤、Eveはそんなふうに告げていた。全国8会場9公演(宮城公演は3月の地震の影響で日程延期と会場変更を経て開催)、8月29日・30日には日本武道館での追加公演も決定した「Eve Live Tour 2022[廻人]」。2年以上の空白期間を経ての久々の有観客ライブツアーであり、Eve自身もその喜びを溢れ出させる瞬間は何度もあったのだが、集まったオーディエンスが歌声や歓声の自粛を求められるライブ環境下でも、本来あるべきライブ体験の興奮と喜びを細胞レベルで味わうことのできる、素晴らしいパフォーマンスになっていた。あまりのすごさにびっくりさせられてしまったほどだ。「ウィズコロナ時代のライブにしては」ではなく、「ウィズコロナ時代のライブだからこそ」到達することのできた、エポックメイキングと言ってもいいライブツアー。なぜ、Eveはそんなライブを目指し、到達することができたのだろうか。ライブ中ずっと、湧き上がる興奮を抑え込むようにしながらそれを考え、ステージを見つめていた。5月4日、東京ガーデンシアター初日の模様をレポートしたい。

客入れ時のステージ上スクリーンには、人とZINGAIたちのキャラクターが共存する世界を描いたアニメーションが映し出されている。奇妙でありながらも、不思議な居心地の良さを抱かせる生活感に満ちたこのアニメーションに触れていると、久々にEveのライブに来たな、という実感が湧いてくる。開演5分前までは、自由に撮影してもOKだそうだ。そしていよいよ、本編が始まる。小さな孤島には地下遺跡の入り口のようなものがあり、そこを訪れた「廻人」は、まるで広大な書庫のような空間へと足を踏み入れてゆく。そんなアニメ仕立てのイントロムービーとともに鳴り響いていたのが、最新アルバム『廻人』のオープニングトラック“廻人 (instrumental)”だ。次の瞬間、紗幕の向こうからバンドの刺激的なフレーズが轟き、アルバムの曲順通りに“廻廻奇譚”が切り出される。Eveと、サポートメンバーにバンマスのNuma(G)、Masahito Nakamura(B)、堀正輝(Dr)というお馴染みの4ピースである。手前側の紗幕には不気味な書体の歌詞タイポグラフィーが縦横無尽に駆け抜け、ステージ奥側のスクリーンにも映像が用いられているという凝ったビジュアル演出はいかにもEveライブらしいのだが、それ以上に驚きだったのがバンドのサウンドであった。恐るべき躍動感とコンビネーションをもって、フィジカルな手応えをもたらす演奏を繰り広げている。紗幕に遮られたEveの表情を窺うことは難しいけれど、それを補って余りある熱い体温と息遣いがビシビシ感じられる。感染症対策としてさまざまな制限が課されたライブ環境下で、それでもオーディエンスに確かな熱狂と興奮を味わってもらうには、この生身の振動をダイレクトに叩き込む演奏が必要不可欠だった。Eveは恐らく、そんなふうに考えたのではないだろうか。コロナ禍の季節、ポップカルチャーを広範囲に支えるような楽曲の数々を生み出してきたばかりではなく、Eveとバンドはこのライブでの再会を特別な機会にするためのサウンドを鍛え上げてきた。その強い意気込みと費やしてきた時間を一瞬のうちに理解させる、そんな演奏なのである。これはとんでもないライブになる。この時点で既に、結果はほぼ見えていたようなものだった。ビジュアル演出とサウンドの相乗効果で、会場内に立ち込めた興奮は一気に跳ね上がっていった。(以下、本誌記事に続く)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年7月号より抜粋)



  • 【JAPAN最新号】Eve、そのライブ体験は、時の迷宮に捕われた我々を解放する。「Eve Live Tour 2022[廻人]」完全レポート! - 『ROCKIN'ON JAPAN』2022年7月号

    『ROCKIN'ON JAPAN』2022年7月号

  • 【JAPAN最新号】Eve、そのライブ体験は、時の迷宮に捕われた我々を解放する。「Eve Live Tour 2022[廻人]」完全レポート! - 別冊JAPAN JAM 2022

    別冊JAPAN JAM 2022

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