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    Conton Candy、感情の連なりを鳴らす19歳の3ピース

    Conton Candy、感情の連なりを鳴らす19歳の3ピース
    『ROCKIN'ON JAPAN』最新号(2022年10月号)New Comerより

    すべての感情は地続きだ。「愛おしい」と「憎い」も、「楽しい」と「めんどくさい」も、「欲しい」と「要らない」も、「記憶」と「忘却」も。誰かや何かと向き合っている中でどれかひとつの感情に留まることはないし、今その時々の感情を愛でてあげればいい。そんな心の在処の流れを、19歳の3人から成るConton Candyは1曲の中で表現する。そして聴き手に対して、今自分は目の前にある事象に関してどの感情を抱いているのか、という自己認識をさせてくれるような心の触れ方をするのだ。


    たとえば2nd EP『angel』のリード曲“執着”は、最初は愛し合うふたりの何気ない日常を描いて、途中で《こうやって狂ってく私を/見てられないから愛を捨てたんでしょ》《1つも優しくなかったあなた》と相手と自分への憎しみと狂気に変わる。そして最後にまた《今じゃ愛おしいな》と歌う。1曲の中でポップなラブソングからパンクロックの歌へと変わる八島紬衣(Vo・G)の歌い方が、さらにそれを際立たせる。世間では「両極端」などと言われてしまうような異なる感情を、あくまでそれは感じ方の過程にすぎないのだとConton Candyは表現する。実際、最低な感情と最高な感情は地続きにあって、生きている限り終着点もないのがリアルだと、私は思う。

    “エンジェルスモーク”や“envy”を聴けば、八島はメロディと仲よく絡み合うギターリフの発明に長けていることがわかる。そしてそれを支えるのは鈴木楓華(B)、彩楓(Dr)による双子のリズム隊。ギター、ベース、ドラム、どれかひとつの楽器+歌だけでも素晴らしく成立するような、リズム隊もただ曲を「支える」だけではない、それぞれがおいしいフレーズをエネルギッシュに鳴らしていく。それこそが3ピースロックバンドの音楽の醍醐味で、Conton Candyはすでにそれを十分に体現している存在だ。さらに今作から楓華と彩楓のコーラスワークに磨きがかかっていて、声で塗られる背景も色鮮やか。

    今日までに伝説を残してきた3ピースガールズバンドのような存在となるか。注目していたい。(矢島由佳子)



    • Conton Candy、感情の連なりを鳴らす19歳の3ピース - 『ROCKIN'ON JAPAN』2022年10月号

      『ROCKIN'ON JAPAN』2022年10月号

    • Conton Candy、感情の連なりを鳴らす19歳の3ピース - 『ROCKIN'ON JAPAN』2022年10月号
    • Conton Candy、感情の連なりを鳴らす19歳の3ピース - 別冊ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022
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