現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号にポルカドットスティングレイ・雫が登場!(“リドー”は)唯一、私から自然発生してるかもしれない。
タイアップがついてなくてもこれがリード曲だって言い切れる、クソかっこいい曲を書いてやろうと思って
傑作『踊る様に』完成! 雫が今語る、ポルカにとっての変化と進化
インタビュー=海津亮
ポルカドットスティングレイにとって1年9ヶ月ぶりとなる待望の4thフルアルバム『踊る様に』が完成した。前作『何者』で確立した音楽的バリエーションの豊かさや、受け手のニーズに誠実に向き合う楽曲作りは引き継がれつつ、この期間に凄まじいスピードで変化した時代的な音楽の潮流や、その流通フォーマットの変化に真正面から対応した作品の変質が見て取れる。
歌始まり、サビ始まりの曲が以前にも増して多くなり、短い曲も多い。まさに「大衆消費財としてのポップ・ミュージック」という概念に自覚的な雫の価値観が楽曲をそこに向かわせているのだと思う。
今作では“ショートショート”というメジャー1stフルアルバム『全知全能』の収録曲がセルフカバーされている。オリジナルのリリース時、今の技術で世に出すには早すぎると自覚しつつ、アルバム全体のバランスを考えて入れた曲だ。当時完全なギターロックだったこの人気曲が、メンバーのテクニックや意識の変化を経て見事に2022年度版最新型ポルカに更新されている。
リード曲“リドー”はそんな中でも異質だ。ゼロから完全なリード曲を作る、という難易度の高いテーマと向き合って出来上がったこの曲は、一度聴いたら忘れないリフとキャッチーなメロディ、巻き舌でドスの効いた歌声と、昭和歌謡風メロディという、変化球でありながら王道とも言える会心の出来である。まさにこのアルバムを牽引すべき要素がすべて揃った一曲だ。
アルバム『踊る様に』から、ポルカドットスティングレイの変化と進化を感じてほしい。(海津亮)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年10月号より抜粋)