2024年、sumikaが絶好調だ。想定外の事態に見舞われ続けた2023年を経て、より逞しく、よりしたたかに、sumikaはシーンの最前線に帰還してくれた。勝利、敗北がある世界は、儚くも美しいなと思う。勝ち負けがないから全部正解だよっていう世界に身を投じすぎるのも危険だなって(片岡)
改めて感じるのは、どんな時でも正しく前を向き、与えられた状況の中でのベストを追求しようとトライし続けるのがsumikaだということ。
前年の延期、振り替えの関係で開催スケジュールが前後に絡み合ったふたつのツアーで彼らは、新しい時代に向き合った新しいsumikaを理想的な形でプレゼンテーションしてくれた。だからこそなのだろうが、今の彼らは外からの刺激を受け入れることに対しても貪欲だ。他アーティストと対峙することで、sumikaにフィードバックされる様々な経験は彼らをまた違う次元へ導いてくれているようだ。
そして届いた最新曲“VINCENT”は、片岡いわく「原始的感覚で血が湧くような楽曲」とのこと。欧州サッカーをお題とした書き下ろし曲で、近年sumikaが得意とするスケールの大きいドラマティックなアンセムだ。
チャントを意識したであろうサックスソロから始まって合唱のテーマにつながる展開、Aメロに続いて突然入ってくる様々なキーワードを呪文(?)のように呟きつづけるパート、ライブを意識して全員で歌うことを前提としたサビ、など構成のオリジナリティが格別だ。ここまで大胆に振り切った新曲を生み出せるに至った必然はなんだったのだろうか。同時進行するたくさんのプロジェクトを通して2024年のsumikaがどこにいて、これからどこに向かうのか、今そのすべてを語ってくれた。
インタビュー=海津亮 撮影=フジイセイヤ(W)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より抜粋)
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