【JAPAN最新号】Aooo、気鋭の才能たちが敢えて進みゆく「バンド道」

【JAPAN最新号】Aooo、気鋭の才能たちが敢えて進みゆく「バンド道」
SNSやサブスクで音源がヒットした上で初ライブを行うやり方も決して珍しくない昨今、このバンドはそうではない。昨年の初ライブ以降、対バンやフェス等への出演を活動のメインとし、つい先日まではライブ映像を除けば会場限定CDでしか音源を聴くこともできなかった。いや、バンドなんだからむしろそれが主流でしょ?と思うかもしれないが、そうじゃない見せ方や活動形態も全然できるはずのメンバーたちが「バンドらしい」歩みを見せているから面白い。なにしろボーカルは元・赤い公園の、アイドルネッサンスでの活動経験も持つ石野理子、ギターはSSW/ボカロP・すりぃ、ベースはYOASOBIのサポートでもお馴染みのやまもとひかるが、ドラムを星街すいせい“ビビデバ”などを手がけるツミキが担当、という錚々たる面々である。ソングライティングの面でも各個の技量から見ても可能だったはずの、「作品先行で名を上げる」仕掛けをしなかったのはやはり「バンドだから」なんだろう。このセルフタイトルの1stアルバム『Aooo』を聴けば改めてそう思える。


メンバー全員が作詞作曲に携わった楽曲たちは、大衆性の概念やフォーマットに挑むような突飛な方向ではなく、あくまでポップでダンサブルなロック──要はバンド音楽の真ん中を撃ち抜きにかかっている。その中で、“水中少女”“エイプリル”などメロディの良さに唸らされる曲がツミキの手によるものだったり、すりぃの発想力が炸裂する、シンセポップ調の音にキュートなコーラスも交えた“ネオワビシイ”のような曲があったり、1分少々で走り抜ける“FLASH FORWARD”やオルタナの香る“Casablanca”などロック色強めの曲をやまもとが手がけていたりと個々のカラーが光り、半数で作詞を手がける石野の決意や渇望が滲むリリックと、それをあくまで軽やかに歌い届けるボーカルワークも出色。おまけにバンド音楽特有の青春性まで放つ本作に出合ったら、誰もがその先まで楽しみになること請け合いだ。

文=風間大洋
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より抜粋)


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