渋谷龍太(Vo)のライブMCは、当たり前だけどそのときどきに応じて少しずつ変化している。JAPAN JAM 2022のステージなど、2年くらい前は「来てよかったじゃなく、来なきゃダメだったと思えるライブにしたい」とよく言っていた。コロナ禍でまだライブに気軽に足を運べる雰囲気ではなかった時期に、ライブに行くことを全肯定してくれる力強い言葉だったし、実際にSUPER BEAVERのライブは「ライブ」という言葉の通り、たとえ同じ曲を歌ったとしても、日によっても会場によってもそれぞれ違った緊張感や高揚感に包まれていた。
そして、JAPAN2号連続別冊の後編で取り上げた、2月の武道館公演を含むアリーナツアーで何度も伝えていたメッセージがこれだった。
「来なきゃダメだったと思えるライブにしたい」という意味をさらに突き詰めたこのメッセージは、思えば、同じ人なんて誰ひとりとしていないと、リスナーと1対1で向き合い続けてきたSUPER BEAVERがずっと歌ってきたことだ。自分が一歩踏み込んだから、自分が動いたから変わったっていう実感をもっと感じてほしい
約10年前にリリースされた“らしさ”、その延長線上にある最新アルバム『音楽』の1曲目“切望”。《だからずっと言ってるんだ》という歌詞の通り、あなたはあなたしかいなくて、生まれた瞬間から誰とも被っていない特別な存在であるということに気づいてほしいというのが、SUPER BEAVERの変わらない願いだ。《だから 僕は僕らしく そして 君は君らしくって/始めから 探すような ものではないんだと思うんだ》(“らしさ”)
《個性だ 多様だ それもまた枠だった/だからずっと言ってるんだ/初めから 僕で あなたで 人だって らしさってなんだったっけ》(“切望”)
「自分がいなくてもいい」とか「自分じゃなくてもいい」とか、そうやって自分を軽んじてしまいそうになるときに、歌に励まされるだけでなく、自分が存在しているという実感を持ってほしいと想われている──その愛を一度でも受け取ったなら、もう誰もSUPER BEAVERから離れることはできない。
ひとつとして同じライブはない(アンコールは今後やらないと説明したときの反応も日によって全然違っていた!)という尊さをぎゅっと詰め込んだ、JAPAN5月号のSUPER BEAVER別冊「『音楽』実演編」、ぜひ手元に置いておいてほしい。
そして、「写真を見ているだけではやっぱり物足りない」という方は、JAPAN JAM 2024の5月3日(金・祝)はまだ間に合います! 18:15〜SUNSET STAGEでビーバーの大きな愛を「あなた」が直接受け取りに来てください!(有本早季)
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