【コラム】Mr.Children、「未完」なる背中に見る対バンツアーのワケ

【コラム】Mr.Children、「未完」なる背中に見る対バンツアーのワケ
今年、ミスチルの何らかに触れてきた人であれば、快哉を叫んだはずだ。
先日、Mr.Childrenが発表したニュースは、「対バンツアー」。(http://ro69.jp/news/detail/131830)。
このニュースは、それ自体として凄まじいインパクトがあったが、この「インパクト」をできるだけ丁寧に説明するならこういうことになる。

要するに−−。
ミスチルは今年、『REFLECTION』という前代未聞の形態を持ったデビュー24年目の最高傑作を作り、かつその発売に先駆け全国ツアーを敢行し、さらにそのファイナル公演当日にアルバムが発売されるという、「楽曲発表」における究極のプレゼンテーションを行い、そこから間髪を容れず、自らを「未完」と位置づけたスタジアムツアーをやるだけでなく、特に日産スタジアム公演においては土砂降りの雨すら嘘のように美しい完璧なる演出であるかのように、瑞々しく衝動的なライヴをやりきってみせたのである。

そして、そんなふうに物語の何度目かのクライマックスを更新し続けている問答無用の国民的バンドの次なるアクションとして発表されたのが、全国各地のZeppでの「対バン」ツアーだったのだ。そらまあ、泣く子は即時に口を閉ざし、ロック編集者はいきり立ってコラムくらい書くだろう、という話なのだ。

実際、この1年ひたすらミスチルのリアルを追いかけてきた人間として、このニュースが何よりMr.Childrenらしいアイディアに思えて仕方ない。もっと言うと、ミスチルの2015年を締めくくる活動として、これ以上にふさわしいものはないと感じる。

それは、「初期衝動の奪還」といったよく言われるものとも違い、もっともっとピュアで、内なる自分に向けられた何かなのではないかと思う。「未完」ツアーを土砂降りの中で観たときにもまったく同じことを思ったものだ。
ミスチルのこの躍動感と衝動、瑞々しさ、喜びの温度。それはつまり、「回帰」などではなく、まったくもって、「今」であるということなのだなあと。

今4人は、挑戦に次ぐ挑戦で見えてくる「自分」たち、即ち「Mr.Children」でいることにポジティヴな実感が溢れて溢れて仕方ないんだろう、そしてそれを徹底的に貪りたいんだろう、ということだ。
そんな待望の対バンツアー。メンツは、HEATWAVE、くるり、エレファントカシマシ、小谷美紗子、ASIAN KUNG-FU GENERATION。

ミスチルに再び出会えた2015年。今年は本当にいい年だ。
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