ロッキング・オン最新号の表紙でもあるボブ・ディランが、“Heaven's Door”というウィスキーを5月に発売すると、NYタイムズが報じている。
https://www.nytimes.com/2018/04/28/business/media/bob-dylan-heavens-door.html
発売元はナッシュビルにあり、ウィスキーは3種類で、Straight Rye Whiskey($89.99)、Tennessee Straight Bourbon Whiskey($59.99)、Double-Barrel Whisky($59.99)だ。
ディランはこのウィスキーに関して、NYタイムズにコメントを発表している。「僕らは、それぞれが物語を語るような、アメリカのウィスキーのコレクションを作りたかった。僕は何十年も世界中を旅して、世界でも最高のウィスキーを飲んできた。でも、このウィスキーは最高なんだ」
ボトルのデザインも、ディランによる鉄のアートにインスパイアされたそう。
ウィスキーのウェブサイトはこちら。
https://www.heavensdoor.com/
NYタイムズの記事によると、ウィスキーを発売するというアイディアは元々ディラン側にあったよう。ボブ・ディランは2015年、「ブートレグ・ウィスキー」という名前を商標登録したのだそう。それが酒造業界では話題となり、酒造業で成功したディランの大ファンだった資本家がディランに電話し、一緒に限定生産のウィスキーを作りたいという提案をしたそう。
結果、資本は3500万ドル(約35億円)集まり、5月にウィスキーを発売することになった。
ディランは名前を貸しただけではなくて、完全にウィスキー作りに参加していたということ。ディランのLAにある鉄のアートのアトリエで4、5回会った他、電話でのやり取りも何度もしたそう。面白いのは、試作品を持って行った後のディランのコメントを解読するのが難解だったというエピソードだ。
「時に、ただ長い間僕らを見ているだけのことがあった。それはダメということなのか、良いということなのか、分からなかった(笑)」
「また、“double-barreled”ウィスキーを持って行った時に、『何かが足りない』と言われた。『木の建物の中に入っているような感触がないといけない』と。それで、木の建物って、例えば教会にいるような感触ということなのか? 駅のことなのか? 電車の車両にいるような感じなのか? 納屋か?」悩んだそう。
最終的には恐らく香りのことだろう予測して、ウィスキーを寝かせる樽をどのように焦がすのかを研究し、納屋の香りがするようなウィスキーを持って行ったのだそう。そしたら、ようやくディランからオーケーが出たということ。
またディランの元々のアイディアであった「ブートレグ」という名前を活かすために、「ブートレグ・シリーズ」という限定版のウィスキーも毎年販売するという。例えば、来年には25年ものを$300で発売する。
なんと2019年にはナッシュビルの築140年の使っていなかった教会を作り直し、試飲ができる場所まで作る計画だということ。
アメリカは最近ウィスキーブームで、この5年間でのウィスキーの売り上げは、52%上昇したのだとか。なお、ミュージシャンやセレブによるアルコールの販売は珍しいことではない。例えばジョージ・クルーニーは、数年前にテキーラの輸入・販売会社を作り、それを去年10億ドルで売ったことが話題となった。JAY-Zもシャンパンや、コニャックの会社のオーナーの一人だし、ディディがテキーラ会社とのパートナーで大成功しているのも有名。ウォッカの会社にも出資している。
ディランのウィスキーはNYでは買えるので、ウィスキーは飲めないけど、とりあえず1本予約してみた(笑)。
1995年MTVアンプラグドで演奏された“Knockin' On Heaven's Door”の映像はこちら。
ディランは今年のフジロックでヘッドライナーを務める。
http://www.fujirockfestival.com/
ボブ・ディランの特集記事は現在発売中の「ロッキング・オン」6月号に掲載中です。
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