ウッドストック50周年対電通。審問の結果がようやく通告。ウッドストック50周年の勝訴?!?!
2019.05.17 10:55
今週の月曜日にNY州の最高裁で審問が行なわれたウッドストック50周年対電通。電通が審問の直前の日曜日に新たな書類を提出したり、また月曜日は、両者の言い争いが長引いたため、審問は火曜日も続いた。裁判官は、そこでも結論を通告せず、20時間ー36時間後に通告すると告知。
水曜日の夕方にようやく結果が告知された。
https://www.billboard.com/articles/business/8511647/woodstock-50-festival-not-canceled-dentsu-18-million-judge-ruling
1)まず大きな部分では、一応ウッドストック50周年の勝訴。電通が、ウッドストック50周年をキャンセルする権利はないと通告された。
そのため、ウッドストック50周年の主催者は、早速「ウッドストック50周年は開催だ!」と声明文を発表している。
2)しかし電通はウッドストックの口座から引き落とした1700万ドルの返済義務ない。
裁判官は、電通はこの音楽フェスが予定通りに進まず、そのため生じた損害を軽減する権利があると通告。「フェスは必要な使用許可がまだ取れていない。チケットの発売ができていない。予算の同意がされていない。フェス会場周辺において必要な動線の確保や環境改善のために工事がまだ開始もしていない。さらにそれを行なうために重要なプロダクション会社が降板してしまった」と。
電通も、ウッドストック50周年は、フェスの銀行にアクセスする権利はないこと、1700万ドルの返済義務がないことが、立証され汚名が晴らされた、とコメントしている。
これはウッドストック50周年にとっては、かなりの痛手なはずだ。開催する権利はあるけど、お金はない、ということだから。
ビルボード誌によると、ウッドストック50周年は、あと9000万ドル(約100億円)必要なはずとも概算を出している。電通から1700万ドルを返金してもらうのに必死だったのに、大丈夫なんだろうか?と思うが、ウッドストック50周年は、電通が降りた瞬間に、すでに出資を名乗り出ている会社がいくつもあると言っていたし、火曜日の審問でも、名前は発表できないが複数社が名乗り出ていると言っていた。それが本当なら即座に多くの問題はクリアされるはずだ。
プロデューサーの1人であるマイケル・ラングは、大勝訴したかのようなコメントを発表。
Variety誌によると、「我々は、常に真実を当てにしてきたし、フェスは必ず開催できると信じていた。アーティストとマネージメントの方々には、辛抱強く待ってくれたこと、その支援に感謝いたします。ウッドストック50周年は必ず最高で感動的な経験となります」。
またウッドストック50周年の弁護士は、「今日の通告は重要な勝利であり、フェスは、ファンのために、アーティストのために、そして世界のために開催されるということを意味している。それがウッドストック50周年の重要な使命なのだ」と堂々の勝利宣言を発表している。
しかし、今回の審問のせいでフェスが抱えている多くの問題が明るみとなった。基本的には、ラングが、現実を無視して暴走していたのだ。それを「夢」と取るのか、無謀と取るのかは実現できるのかどうかにかかっているわけだが。
例えば、15万人と推定されていたキャパは6万5千人が現実的と判明。主催者はキャパ15万人と主張してきたが、プロダクション会社Superflyが現地の下見をして6万5千人と発表。本来それに合わせて予算修正が必要なわけだが、ラングはそれを無視して、アーティストをブッキング。ブッキングが終わったところで、初回のフェスなら当たり前なのだが、全額の支払いが必要に。電通は、予算をオーバーしたアーティストがブッキングされたので交渉しようとしたが、ラインアップが発表されないため、資金不足の噂が流れてしまった。なので、電通がほぼ全アーティストに全額を前払いした。
さらに、州から会場の使用許可も降りていないし、会場周辺の修復、改善が必要。その工事などももちろん行なわれていない。落ちることが予測されている橋などもあるそう。前途多難だ。
アーティストは、ほとんど発言を控えているが、ジョン・メイヤーが、審問の最中にラジオに出演しコメント。「行なわれるとはとても思えないけど、でも、みんなと一緒に俺もこのワイルドな現状を眺めているところだ。キャンセルだとも言われたけど、でも、まだ1人だけ、開催だ!と言い続けている人がいるからね(ラングのこと)。それって、『モンティ・パイソン(アンド・ホーリー・グレイル)』の1シーンみたいで、騎士はもう手も足もないのに、単なる傷だ、とぴょんぴょんしている。もし
Dead & Companyが出演するというなら、俺ももちろん出るけど、今のところは、足も腕もなくて血があたりに飛び散ってるように思う(笑)」
個人的には、大失敗に終わった Fryeフェスのドキュメンタリーとますます重なるように思う。現実的には問題だらけなのに、主催者は、出資者に夢のような話を語り続けるのだ。しかしそれに騙されてお金を出す人達がいたところが凄いのだけど。その主催者は今詐欺罪で刑務所にいる。
電通は「この審問で提示したスケジュール上の問題、安全、衛生上の懸念があるため、今後フェスに関与することはない」と発表。電通の判断のほうが正しいと思うが、そもそも電通もなぜ急にこのフェスの出資者になったのだろうか?という疑問は残る。すごく残念な形でその名前が広まってしまった。
ウッドストック50周年は、現アメリカ大統領の元弁護士を雇うし、ハーヴェイ・ワインスタインがセクハラで訴えられた後に雇った代理人を雇ったりして、あやしいこと極まりない。ファレルが、地元で初のフェスを成功させたばかりだが、周辺の市や、警察、消防、そして市民の人達が協力してくれたおかげと何度も言っていた。そんな地道な努力の後、成功させたファレルは本当に偉いとつくづく思った。
https://rockinon.com/blog/nakamura/186093
ウッドストック50周年の開催日は8月16ー18日。あと91日しかない。
https://www.woodstock.com/