Ⓒ 64th GRAMMY Awardsコロナで延期されたグラミー賞が４月３日にラスベガスで開催されるが、あと２週間で本来盛り上げるべき時だが、思い切りどっちらけのニュースが届いた。
Ye（カニエ・ウェスト）のスポークスパーソンによると、グラミー賞がカニエのパフォーマンスをキャンセルしたと言うのだ。ええええ？
しかも、理由は、カニエのネット上での最近の発言を懸念してと。懸念してキャンセル？
グラミー賞は現時点はこれが本当かどうか発表していないし、報道によっては、カニエは元々パフォーマンスする予定にはなってなかったと言うものもあるので、真相は一応分からない。が、もし本当だとしたらあらゆる意味で間違った決断だと思う。カニエの発言は問題だらけではあるが、アメリカのメディアもこれには反発している。
理由は、いくつもある。あくまで個人的な見解だが、
１）言論と表現の自由がある。
２）そもそもカニエは、グラミー賞に5部門もノミネートされているアーティストである。アーティストとアーティストの表現がなかったらグラミー賞なんて最初から成り立たない。アーティストにまず何より敬意を表するべきである。ましてや５部門もノミネートしている人なんだから。これはカニエを侮辱する行為だと思う。
３）小学校じゃないんだから。誰もがお行儀良く座ってグラミー賞の言う通りのことをすると期待する方が間違っている。そんな退屈な授賞式、誰が見たいんだろう？
４）例えば、授賞式の前に、カニエに人種差別発言をするな、と事前に忠告するのは分かる。だけど、カニエがまだ何もやってないのに、しかもどんなパフォーマンスをするのかも分からないのに、「懸念してキャンセル」って本当に失礼すぎる。アーティストをバカにするにも程がある。
５）事前に注意したところでカニエはパフォーマンス中に何か言ったかもしれない。しかし、ここでカニエのパフォーマンスをキャンセルするのは、事態を悪化させるだけだ。なぜなら、まずカニエはノミネートされているわけだから会場には来る。これまでMTVアワーズなどで、いきなりテイラー・スウィフトが受賞した瞬間にステージに上がってマイクを取ったことを考えても、カニエがこんな風にキャンセルされたら余計怒って、言ってはいけないと言われたことを言ってしまう可能性の方が高くなる。それ以前に、メンタルヘルスの問題を抱えているわけだから、もっと慎重に扱ってあげるべきだ。
６）何より、カニエがパフォーマンスしたら、どれだけの人が見るのか、話題になるのか、グラミー賞は分かってない。カニエはパフォーマーとしては本当に一流だ。それだけで、翌日グラミー賞の話題になったと思う。むしろカニエがパフォーマンスしてくれるのをありがたいと思うべきだ。それが分かってない段階で終わってる。そんなことだから視聴率が下がり続けるんだと思う。お行儀の良い人ばっかりの授賞式なんて誰が見たいんだろう？ 75歳位のおじいさんかな？ 何人くらいいるんだろう？
ちなみに、グラミー賞がこういう決断をした経緯を簡単に書く。カニエの最近の発言には個人的にも全く賛成できない。だけど、パフォーマンスをキャンセルすることはまた別問題だ。
１）カニエが、元妻のキム・カーダシアンと離婚する際に、彼女が最近付き合い始めたピート・デヴィッドソンをネット上で激しく批判した。酷すぎるMVまで作った。
２）それを今回グラミー賞の司会もすることになっているトレバー・ノアが彼の番組内で、度を超えているので危険だし懸念するとコメント。またキムくらい財力もあるような女性が元夫から逃れられないとすると一体、一般の女性たちはどれくらい大変なのかと言う内容だった。これは９分半もあり、詳しくは書かないけど、いつもの彼らしく非常に思慮深い内容だった。
３）しかし、カニエはこれが気に食わなくて、トレバーを黒人差別的な用語を使って批判するコメントをインスタに投稿。
４）このポストにトレバーがまた長い思いやりのコメント。要約すると以下の感じだ。
「カニエが、自分の人生にとってどれだけ大きな存在であるかと思うとこういうコメントには、心が張り裂ける。あなたが、家族のために戦う権利はもちろんある。だけど、その戦い方がこのままだと非常に危険だ。もしこの全てを本当に単にジョークで言ってるなら、僕はそのジョークを本気で心配したバカな奴と言うことになる。でも僕は、何も言わないクールな奴になって、あなたが刑務所にでも入った時に嘆くような人間になるよりも、あなたの人生を心配したバカな奴になる方がマシだ」
トレバーはコメディアンなので、笑えるのが、カニエの人種差別的なトレバーへのコメントの仕方には正直笑ったと付け加えていること。それが思いやりだ、素敵。
５）しかしこの人種差別発言を受けて、インスタがカニエのアカウントを一時使用停止にした。また人種差別発言のあるポストは削除した。今見たら、全てのポストが削除されていた。
６）これを見て、グラミー賞がカニエのパフォーマンスをキャンセル。グラミー賞の司会でもあるトレバーとステージ上でもめたり、カニエが何か問題発言をするかもしれないと懸念してと。カニエのスポークスパーソンが言っている。
そもそもそんなことがステージ上で起きたら、トレバーだったらうまくまとめると思う。トレバーに対しても失礼だ。
今回の発表を受けて、トレバーもツイート。「僕はカニエにカウンセルが必要だと言ったのであって、カニエをキャンセルしろとは言ってない」と。その通りだ。
カニエのコメントは、何より当事者であるキムが嫌がっているので、カニエが間違っているとしか言いようがない。が、上の理由によってカニエをキャンセルするのは違うと思う。
しかも、数年前に、「女性アーティストはもっと頑張れ」などと失礼で見下した発言をしたことをまた思い出してしまう。または、ザ・ウィークエンドを１つもノミネートしなかったことなど。
今回も、アーティストの発言やパフォーマンスをコントロールしようとしている態度に、まだまだグラミー賞は自分たちが上だと思っているおっさんの権威主義的な組織なんだなと確認するばかりで、ますます見る気がしなくなる。
そう言えば、今思い出したけど、これがなかったらすでに発表されたパフォーマンスは豪華で盛り上がっていた。第一弾として発表されたのが、ビリー・アイリッシュ、BTS、オリヴィア・ロドリゴなどだった。
さて、ここからどう修復するんだろうか？
私がカニエだったら、グラミー賞は欠席して自分のライブを同じ時間にどこかからライブストリーミングするけど。
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